"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第8話
警庁捜査課との極秘告発
退院をに控えた曜の夜。
消灯を過ぎ、暗くなった特別面談に、に伴われての私の男がを踏み入れた。
鋭いと、鍛えげられた頑な体躯。
警庁刑事部捜査第課――企業の能犯罪や型横領事件を専に扱う、特捜本部の警部と主任捜査官だった。
「初めまして、神堂総帥。警庁捜査課の神崎です」
初老の警部が警察帳を提示し、々とをげた。
病のパイプ子に腰掛けたの刑事の表には、本の経済界を裏から牛る若き女帝と対面しているという、極度の緊張が張り詰めていた。
「夜分に申し訳ありません、神崎警部。弁護士から提された、剛田物産における業務横領および特別背任の告発状……目を通していただけましたか?」
私が掠れた、しかし芯の通った声で尋ねると、神崎警部は々しく頷き、持参した捜査資料のファイルを広げた。
「拝見いたしました。……驚くべき証拠の精度です。架空請求の伝票ログ、窓の防犯カメラ映像、の流れを示す座履歴、さらにはへの資供与を裏付ける領収まで、完全に本の線で繋がっております。件に向けた証拠能力としては、百パーセント完璧です」
「件できますか?」
「できます。それどころか、額が千百万円と額であり、社というを悪用した極めて悪質な背任為です。
広告
さらに、神堂グループという社会インフラ企業からの包括保証融資をい物にしたは、到底過できません。すでに京検の検事とも協議を終え、裁判所への逮捕状請求続きを完させております」
神崎警部の言葉に、私は静かに目を細めた。
警察も検察も、すでに完全に罠の網を広げ終えていたのだ。
「逮捕状の執は、いつになりますか?」
「総帥のご退院――の曜、午分を予定しております。麻布の邸宅において、神堂グループによる債務保証解除と建物け渡しの制執がわれるタイミングにわせ、捜査官数名で突入し、剛田達也、ならびに共犯である剛田数の両名を、そので通常逮捕いたします」
「義妹の真由美はどうなりますか?」
「彼女自は会社の役員ではありませんが、横領された資の部が彼女の遊興費や渡航費に流れていた事実が確認されております。また、剛田物産の連帯保証に名を連ねているため、会社の倒産とともに巨額の個再・自己破産続きへ直することになります。刑事、民事、彼女も逃げ切ることは能です」
法と国権力による、完全なる包囲殲滅作戦。
私がけをかける余など、微な隙すら残されていなかった。
「神崎警部、つだけお願いがあります」
「何でしょうか、総帥」
「彼らが私を罵倒し、自らの犯した罪のさに気づくその瞬まで、突入を待ってください。……私が彼らの目を真っ直ぐに見据え、最の撃をすその瞬まで」
神崎警部は私の徹な瞳をじっと見つめ、やがて力く頷いた。
「承いたしました。々は邸宅の周囲に覆面パトカーを配置し、総帥の図を図に斉突入いたします」
刑事がった、私は病の窓ガラスに映る、自らの青い顔を見つめた。
そこにいたのは、する夫のために尽くし、耐え忍んでいた従順な妻ではなかった。
自らの尊厳を踏みにじった者に対し、寸分の狂いもなく破滅の鉄槌をす、神堂グループの絶対者そのものだった。