"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第7話
億円ののけ渡し通告
退院まであとに迫った曜の午。
れの空から差し込む差しは温かかったが、病内の空気は氷点のように張り詰めていた。
私の元には、が持参した産の登記簿謄本と、分い賃貸借契約のファイルが置かれていた。
「港区麻布丁目。敷百坪、延面積百坪のRC造階建て豪邸。……この物件の権利関係を、改めて確認させてください」
私の言葉に、が淀みなく答える。
「はい。当該産の所権は、総帥が全株式を保する個資産管理会社『ミオ・エステート同会社』が百パーセント保しております。剛田達也氏、数氏、真由美氏の持分はミリたりともしません」
「ええ、っています。結婚当初、達也さんが『社たるもの、麻布に国の主として構えなければ商談で舐められる』と見栄を張ったため、私が買い与えたものですからね」
購入資億円は、すべて私の個資産から括で支払われた。
達也の面子をてるため、見は「剛田物産がミオ・エステートから社宅として借り受け、代表取締役である達也が無償で居する」という役員社宅の契約形態をとっていたに過ぎない。
「さん。剛田物産が横領と債務履によって破綻した、この役員社宅契約はどうなりますか?」
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「契約条項第条に基づき、剛田物産の破産続始、あるいは代表取締役の背任為が発覚した点で、貸主であるミオ・エステート側からの即無催告解除が能です。剛田の面々は、法な法占拠者となり、切の居権を喪失します」
「素らしいわね」
私は契約の解除通に、万で迷いなく署名した。
「彼らはあの豪邸を、あたかも自分たちの実力でに入れたであるかのように錯覚し、理のリビングでワインをみ散らかしています。……退院のにわせて、京方裁判所へ占移転禁止の仮処分、および建物渡し断の仮処分に基づく制執を申しててください」
「すでに申の作成は完しております。執官および執補助の配も、グループ息のかかった警備会社と連携し、退院当の午に即座に突入できるよう待させております」
「退猶予は?」
「秒も与えません。着の着のままで、敷へ叩きします」
の徹な事務処理能力に、私はさく頷いた。
彼らはを失うのだ。
座で買い漁ったブランド品の数々も、横領の保全のためにすべて差し押さえられる。
に迷うとはどういうことか、の慈を踏みにじったに、そのをもって学んでもらわなければならない。
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その、サイドテーブルに置かれたスマートフォンが、けたたましい通音を鳴らした。
画面に表示されたのは、またしても夫の達也からのメッセージだった。
『おい、病院から退院が曜に決まったと連絡があったぞ。迎えにはかないから、自分でタクシー拾って帰ってこい』
『ぶらで帰ってきたら承しないからな。に寄って、滞納してる母さんの遣い千百万円、全額現でろして持ってこい。を持ってこないなら、の鍵はけてやらないからな。分かったか!』
画面に浮かぶ傲極まりない文面を見つめながら、私の唇から、静かな失笑が漏れた。
「迎えにも来ないそうです。……本当に、どこまでも私の期待を裏切らないたちね」
が軽蔑に満ちた差しで画面を瞥した。
「総帥、当はグループのセンチュリー・ロイヤルハイヤーを病院の寄せに配いたしますが……」
「いいえ、必ありません」
私は首を横に振った。
「彼らが望む通り、私はくたびれたコートを着て、でタクシーに乗って帰ります。傷病当のない無力な妻が、みじめに帰宅したと油断させるためにね。……獲物が最も油断した瞬こそが、罠を作させる最のタイミングですから」