"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第6話
融制裁のタイマーセット
が提示した型端末の液晶画面には、剛田達也と数がを染めた業務横領の全容が、寸分の狂いもない客観証拠として網羅されていた。
架空のシステム発会社『ネクスト・ソリューションズ』宛てに起票された、件の偽造請求。
剛田物産の経理システムに残る、達也自の社決済印の子ログ。
そして、みずほ虎ノ支の窓で、達也本が会社の代表者印と切を用いて現を払い戻した防犯カメラの映像データと、受領証の跡。
「総帥、引きされた発資の総額は千百万円。そのうち千百万円が義母・数氏の個座へ即入され、残りの千万円は、達也氏の個裏座を経由して、女性秘の当および級会員制クラブでの遊興費に消えております」
の声には、極限まで圧縮された法曹としての憤激が込められていた。
「会社の公を横領して私腹を肥やし、それを瀕の妻のせいにして恫する。……これほど醜悪な背任為を、私はの弁護士活で見たことがありません。即刻、警庁捜査課へ告訴状を提すべきです」
「ええ、告訴は当然います」
私はリクライニングシートにを預け、い胸元にを当てた。
傷は塞がりつつあるが、く息を吸い込むと、まだ筋の奥に鈍い痛みがる。
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だが、その痛みこそが、私の脳細胞を研ぎ澄まし、酷無比な執官としての決を固めさせていた。
「ですが、さん。ただ警察に突きすだけでは、彼らにとって本当の罰にはなりません。彼らが最も誇り、最も執着しているものは何ですか?」
は私の図を察し、鋭く目をらせた。
「……神堂グループの威によって得た、社という社会位。そして、麻布の豪邸で享受している、の丈にわない特権階級の暮らしです」
「その通りです。彼らは、自分が誰の力で呼吸し、誰ので豪遊しているのかを完全に忘れている。ならば、彼らが最も油断し、私を見して傲の極みに達したその瞬に、元の絨毯を気に引き抜いてやるのが礼儀というものでしょう」
私はベッドからをろし、スリッパにを入れた。
点滴スタンドを握ることなく、自らのでしっかりと病のを踏み締める。
「さん、融制裁のシミュレーションを実してください。神堂グループが剛田物産に供与している、億円の包括債務保証。これを完全に引き揚げた、何が起きますか?」
は端末の画面を切り替え、システムと連した資流性チャートを表示した。
「神堂グループがメインバンクである帝都メガバンクに対し、債務保証の即解除通告を提した瞬、の融資回収プロトコルが自発します。
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剛田物産への信用供与はゼロとなり、億円の期借入について即括返済が請求されます」
「彼らに、億円を括で返す資力はありますか?」
「皆無です。現、剛田物産の座に残っている流資産は、数千万円程度。保証が解除された当の午には、形の決済資がショートし、取引止処分――すなわち、即事実の倒産となります」
完璧な破滅の連鎖だった。
私が保証のハンコをつ引っ込めるだけで、彼らが守ってきた堅商社など、砂の楼閣のように瞬で崩壊するのだ。
「退院は、来週の曜、午に決定しました」
私は徹に告げた。
「退院の午ちょうどに、帝都メガバンクへ包括保証の解除通告が自送信されるよう、システムにタイマーをセットしてください」
「午……総帥が、麻布のご自宅へ帰還される刻ですね」
「ええ。私がでタクシーに乗り、ぶらであのの玄関をけるです。彼らが私を取り囲み、『を持ってこなかったのか』と鳴り散らしたその刹に、彼らのスマートフォンへ会社倒産の報を撃ち込んであげます」
はく、くをげた。
「承いたしました。億円の債務保証解除通告、ならびに横領の証拠類式、すべて完璧なタイミングで連するよう配いたします」