"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第5話
病の急襲と暴かれた使途
がってからの午。
リハビリを兼ねて点滴スタンドを押しながら病棟の廊を歩く私のに、くのナースステーション付から響く障りな声が届いた。
甲いヒールの音と、者を威圧するような品な笑い声。
「ちょっと! 野美桜の病はどこよ? 部? ゲッ、貧乏くさっ!」
病の引き戸が乱暴にけ放たれ、のい匂いとともに現れたのは、義妹の剛田真由美だった。
級ブランドのロゴがこれ見よがしにプリントされた毛皮のベストを羽織り、派なネイルを施した指先でスマートフォンを弄りながら、同然の勢いで私のベッドへづいてきた。
「ああ、いたいた。きてるじゃない、義姉さん」
見いの品など何つ持たず、パイプ子をで引き寄せてドカッと腰をろす。
「何よそのみすぼらしい格好。お兄ちゃんから聞いたわよ、したことない病気のくせに袈裟に入院して、母さんへの送を止めてるんですって? いいご分ね!」
「……真由美さん。何の用ですか」
私がベッドに腰掛け、ややかに問いかけると、真由美はガムをパチンと鳴らしてを乗りしてきた。
「決まってるでしょ! 母さんの通帳と印鑑の所を教えなさいよ! 義姉さんがスマホで送できないって言い張るなら、私たちが直接座からを引きして、今のカード代を払うから! どこに隠してるわけ!?」
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「教えられません。あの座は私の個管理ですから、あなたたちにはかせません」
「はあ!? 何偉そうにしてんのよ!」
真由美は顔を真っ赤にしてちがり、私のベッドの柵を力任せに蹴りつけた。ガシャンと属音が響き、同の患者たちが怯えてカーテンの隙から覗き込む。
「誰のおかげで剛田の嫁でいられるとってんのよ! お兄ちゃんに捨てられたら、あんたなんかに迷うだけのき遅れ女じゃない!く暗証番号を言いなさいよ!」
「私が倒れてから以、あなた方は度も見いに来なかった。着替えの枚すら持ってこなかった。……それが、族に対する態度ですか?」
私の静かな問いかけに、真由美はで笑った。
「当たりでしょ! なんで私が、あんたみたいなの汚いパジャマを洗わなきゃいけないわけ? 病気がうつったらどうすんのよ! あんたはしくだけ吐きしてりゃいいの! 使えない財布なら、今すぐお兄ちゃんに言って追いしてもらうからね!」
真由美は吐き捨てると、ヒールを鳴らして嵐のように病からてった。
りゆく義妹の背を、私はただ徹に見送った。
(……これで、最のけをかける理由すら完全に消滅した)
真由美がってからわずか分、が蒼な顔で病へび込んできた。
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いつも沈着静な彼が、珍しく激しい揺を隠せない様子で、にした暗号化端末の画面を私に向けた。
「総帥……! 剛田物産の財務監査および座追跡の結果がました。……これは、像を絶する事態です」
の指先が、震えながら画面の数値をスクロールさせる。
「剛田達也社は、総帥が倒れられた直から、神堂グループの億円包括保証を担保にメガバンクから融資されていた『規事業発資座』から、架空の注費伝票を偽造し、総額千百万円もの現を正に引きしていました」
画面に映しされたのは、のATMおよび窓で、達也が自ら現を引きした記録。
そして――その現が引きされた数、まったく同額の幣が、義母・数の個座へと入され、翌には座の級ブティックや商の支払いに消えていた、完全な致を示すタイムラインだった。
「会社の発資にを付けた……?」
私がく呟くと、はさらに戦慄すべき事実を告げた。
「それだけではありません。達也社は、引きした現の部を、自社の女性秘との倫旅や、級の改造費に流用しています。……総帥、これは単なる庭内の銭問題ではありません。確な会社法違反(特別背任罪)および業務横領罪を構成する、な刑事犯罪です!」
病の空気が、ピシリと音をてて凍りついた。
私が命の危に瀕して胸をかれていたその、夫と義母は、私の恩恵である会社の資を横領し、と豪遊し、座で贅沢昧に狂っていたのだ。
「さん」
私のから漏れたのは、自分でも驚くほど静かで、絶対零度の声だった。
「証拠を、すべて保全しなさい。……あの者たちに、真の獄を見せてあげます」