"朝八時までのヒーロー弁当" 第19話
数字の向こう
浦の机には、堂の利用者数をまとめたしい報告が届いた。以なら、予測よりない数字を見つけるたびに原因を問い詰めていただろう。だが今は、朝の利用状況と残業の事配も同じ表に載っている。社員堂は昼に温かい事をし、ヒーロー弁当は番や夜勤けの朝を支える。それぞれが必なを受け持つことで、会社全体の事の選択肢は増えていた。
総務担当者は「昼の堂の数は、最初の見込みよりないままです」と報告した。浦は「その分、仕込みを調して廃棄を減らせているなら、悪い数字とは限りません」と答えた。委託業者とも改めて話しい、利用数にわせた運用へ変更した。堂を成功させるために全員を座らせるのではなく、利用するが満してべられるようにする。その考え方は、浦自にもしかった。
あるの昼、浦は堂で堀と向かいって座った。堀は定をべながら、「最は向かいへ昼の弁当を頼むも落ち着いた」と言った。浦は「朝の契約が始まってから、のご負担はどうでしょうか」と尋ねた。堀は「正夫さんがいものを持たなくなった。しず子さんも休みのにをけなくなった。よりずっといい」と答えた。浦はしたように頷いた。
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「私は、を続けてもらうことが正しいと決めつけていたのかもしれません」。浦が言うと、堀は箸を止めた。浦は続けた。「あの朝、分が届いて、ありがたいといました。でも、また無理をさせたら同じことです」。堀は「そうだな」と答えた。「あのたちがを続けるかどうかは、あのたちが決めることだ。俺たちは、続けるならちゃんと代を払ってべるだけだ」。
その午、では次の休勤の計画が発表された。今回は最初から、予定が延びたの交代休憩と事の配先がかれていた。朝まで作業が続く能性があるときは、のうちに事を確保する。ヒーロー弁当に頼むも、営業と受注能数を確認し、無理なら別の業者を使う。堀は類を読んで、以ならもなかった欄が増えたことに気づいた。堀は若い班にもその欄を見せ、「作業だけでなく、休憩と事も段取りのうちだ」と伝えた。産を止めないためにを無理にかすのではなく、が全に働けるように段取りを組む。その言葉を聞いた若い班は、次の会議で休憩の交代順を自分から提案した。
翔太はその週、輩に注文表のき方を教えていた。名を違えないこと、量の希望を確かめること、締切を守ること。輩が「ただの弁当の注文なのに、細かいですね」
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と言うと、翔太は笑った。「作るが困らないようにするんだよ」。父から受け取った卵焼きのことも、正夫が夜に起きて分を作ったことも、翔太はまだ輩に話していない。いつか自分でに通ううちに分かることがあるとった。
では、しず子が美紀と緒に翌朝の注文表を確かめていた。正夫は子に座り、卵焼きの焼き加減を見ている。美紀が「この卵焼き、どうして甘くしないの」と尋ねると、正夫は「昔、夜勤の連が甘いのは朝にいと言ったからだ」と答えた。「でも、甘いのが好きなもいるでしょう」。美紀が言うと、正夫は「だから別の弁当にはし甘いのも作る」と返した。同じを守ったのではなく、べるにわせて変えてきたのだ。
夕方、浦がのを通りかかった。しず子は「部さん、今度の朝の注文数は届いていますよ」と声をかけた。浦は「ありがとうございます」と答え、台所の奥に座る正夫へもをげた。正夫は「朝はまでだからな」と言った。浦はし笑い、「承しています」と返した。かつてのを枚の通で終わらせようとした男が、今はの決まりを聞く側になっていた。