"朝八時までのヒーロー弁当" 第10話
予定表の赤い印
曜の朝、栄プレス業では型向け部品の量産検査が始まった。部品の穴の位置やみを測定し、試作段階で見つかった問題が解消されているかを確かめる。検査に格すれば、翌朝の便で取引先へ荷する予定だった。の敷には運送会社の両も待し、事務所には検査結果を報告するための話がひっきりなしに入った。
浦は午から現を歩き、担当者ごとのみ具を確かめた。堀は番の班を率い、プレスの調記録を確認している。翔太はこのは休みで、父の畑を伝うため実に帰っていた。昼は委託業者が運んできた弁当で済ませた。夕も予定通り届き、浦は事の配に問題がないことを確認してから、午の検査へ戻った。
夕方、最の寸法検査で問題が見つかった。部品の穴の位置が基準からわずかにれていたのだ。数値だけを見ればさな差だったが、組み付ける相の部品とわなければ、の製造ラインに響する。堀は作業を止め、型担当者と測定結果を見直した。浦も現へ駆けつけ、「原因を確かめてから再してください」と指示した。
調にはかかる見込みだった。ところが、最初のずれを直すと別の位置にたな差がた。温度の響か、型の固定か、測定器の条件か。
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担当者たちはつずつ能性を潰していく。浦は何度も計を見たが、急いで確認を省けばでさらにきな問題になる。結局、午になっても検査は終わらなかった。
夜として頼んでいたおにぎりが配られた。社員たちは交代で休憩に入り、くべて持ちへ戻る。堀は若い作業員に「べてから戻れ。急いでみ込むな」と声をかけた。自分もおにぎりをつべ、残りのつを夜のために取っておこうとしたが、次の班がりなくなると聞いて渡した。い数を見込んだ夜でも、引く作業には分ではなかった。
午、検査のやり直しがもう度必になった。取引先へは状況を説し、朝の便ににわせるために作業を続けることになった。浦は担当者の疲労を考え、休憩を交代で取らせた。保全担当が械の調をしているは検査員を休ませ、検査員が測定しているは作業員を休ませる。全を守るための順は崩さなかったが、休憩に戻った社員たちの顔には疲れが濃くなっていった。
夜零、総務担当者が事の残数を報告した。「夜は全部配りました。自販のみ物はありますが、朝の配はありません」。浦は委託業者へ話をかけた。しかし休の夜に分を追加するのは難しく、翌朝の配送も確約できないと言われた。
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浦はくのコンビニを回るよう若社員に頼んだ。業団から最寄りのまではで分ほどかかる。送りすには、を運転する社員の疲労も確認した。徹夜の作業員をそのまま運転させるわけにはいかないため、に休息を取っていた総務の社員に運転を頼んだ。事を探すために別の危険を増やしてはならない。
くして戻った若は、袋を両にげていた。棚に残っていたおにぎりとパンを買い集めても、数分にしかならなかったという。もう軒回ったが、そこも似たような状況だった。浦は自分の分を取らず、く作業を続けているから配るよう指示した。それでも全員にはき渡らない。堀は「次の休憩までに何か考えないと」と言った。
浦は「もうしで終わります」と答えたが、計は午を回ろうとしていた。部品の測定結果はまだ定せず、誰も帰宅できる見通しを持てない。堀は休憩の窓から、の向こうのさなを見た。ヒーロー弁当のシャッターはり、階の窓も暗い。昔なら、朝まで作業が続くと分かれば、誰かがあのへ話をかけていた。