"朝八時までのヒーロー弁当" 第9話
続けるための値段
昼の注文が個を超えたころ、しず子は仕入れ先から届いた請求を見て眉を寄せた。卵も米も、を始めたころとは比べものにならない値段になっている。との予約があったころは数が定していたから、仕入れも計画しやすかった。今は注文が増えたとはいえ、急に減るもある。正夫は値段を変えることを嫌がっていたが、しず子は帳簿を夫のに置いた。
「く売ってくれるのはありがたいって、みんな言うよ。でも、私たちが赤字をしてまで続けたら、結局また閉めることになる」。正夫は計算を見つめた。油を替える回数も、弁当箱を洗うも、今の仕事量にわせて必だ。値げをすれば客がれるかもしれない。けれど、客のためと言いながら無理をねるのは、妻との約束にも反する。
は週かけて材料の使い方を見直した。卵焼きのきさは変えず、替わりのおかずを旬の野菜にわせる。ご飯の量は普通と盛りを分け、べ切れないにはなめを選んでもらう。値段をげる品には理由をいたさな札を添えることにした。正夫は「くなるなら、きちんと言え」と言い、しず子は「言うよ。隠したら信頼をなくすもの」と答えた。
翔太がしい価格表を持ち帰ると、仲たちはったよりあっさり受け入れた。
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「この値段でずっとやってたほうが議だよ」「盛りだけ追加料なら分かりやすい」。だけ予算が厳しいと言った若者には、しず子がさめの弁当を勧めた。いからではなく、べる量にったものを選べるようにする。そのやり方は、夜勤けにさい弁当を渡していた正夫の昔からの考えと同じだった。
しかし、あるの昼、注文していた社員が急な設備対応で休憩を取れなくなった。受け取り担当は困り、弁当をつ持ち帰った。正夫はそので「無理にわせるな」と言ったが、しず子は夕方、翔太に相談した。「受け取りに来られないことはあるよね。そういうときの決まりを作っておこう」。は、締切のキャンセルは原則として代をもらう代わり、受け取り刻の変更はできる限り相談することにした。
翔太は注文表の裏にその決まりをいた。自分たちが頼んだものの代は、自分たちで責任を持つ。正夫たちに好だけを求めないための、当たりの約束だった。堀はそのを見て「こういうことは最初に決めておいたほうが続きする」と言った。翔太は「親父さんたちに頼りっぱなしにはしたくないんです」と答えた。堀は若者の顔を見て、しだけ目を細めた。
方、浦は型ラインのちげをに、休勤者の覧を確認していた。
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検査員、型担当、保全担当、荷準備の担当者。程ごとに必な員を揃えると、計はくになる。の堂は休営業をしていないため、委託業者に夕と夜を依頼した。注文数を余裕を持って確保したつもりだったが、事を配る刻は夜までしかかれていなかった。
総務担当者が「万、朝までかかるの事はどうしますか」と尋ねると、浦は「そのに終える計画です」と答えた。担当者は「計画通りなら問題ありませんが」と言いかけた。浦は予定表に目を戻し、「追加が必ならその点で考えます」と話を切った。引く能性を考えていないわけではなかった。ただ、万のために余分な費用を使うことを、司へ説したくなかった。
曜の夕方、正夫は翌の注文表が空欄なのを確かめた。は休勤だが、翔太の班は休みで、の昼の予約もない。しず子は「はゆっくり寝られるね」と言い、正夫も頷いた。久しぶりにでへかけ、昼にはでうどんでもべようと話した。だがその夜、の建物にはいつもよりくのかりがついていた。