みかん小説
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"朝八時までのヒーロー弁当" 第8話

予約表にない注文

注文表が定着すると、の昼は以より静かになった。売れる数が分かるから、余分な唐揚げを揚げなくていい。受け取りの刻が決まっているから、しず子が釣り銭を探して慌てることも減った。正夫は膝の調子を見ながら丸子に座って弁当を詰め、しず子が包みを並べる。昔よりない数でも、は久しぶりに仕事を終えたの疲れが軽いとじた。

方、堂の利用者数を管理する浦の机には、毎しずつ異なる数字が積みがった。型ラインのちげで社員が増えているのに、堂の数は当初の予測ほど伸びない。委託業者は仕込みを調して廃棄を減らしたが、会社が補助する当たりの費用は計画よりく見える。浦は数字の理由を問われ、堂の利用を促す掲示を増やした。

そのうち、「から弁当を買うと部に目をつけられる」という噂が現に広がった。翔太の同期のは注文表に名をくのをためらった。「堂を使わないと評価ががるって聞いた」。翔太は「誰がそう言ったの」と聞いたが、相は答えられなかった。堀は話を聞くと、総務に確認することにした。曖昧な噂のままでは、若い社員が昼飯つ選ぶのにも気を使う。

総務担当者は就業規則をき、勤務の事の選択について特別な制限がないことを確かめた。

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品を保管しないという通達は残るが、昼休みに買ってべる為は問題ない。堀はその説を班の朝礼でく伝えた。「決まりは守る。ただ、いていない罰を勝に作るな」。誰かがさく笑い、別の誰かがほっと息をついた。

そのの昼、浦は事務所の窓から台を押す翔太を見つけた。翔太たちはを横断し、ので注文表と弁当を照している。誰も騒いでいない。内に戻り、休憩でべ、午の作業に遅れた者もいなかった。浦はそれを見て、止める理由が見つからないことにいらった。だが、自分のい通りにならないからといって、禁止の決まりを作るわけにはいかなかった。

午、品質管理の会議で浦は型向け部品の検査程を確認した。週末には量産の最終確認があり、曜もくの社員が勤する。程が予定通りめば夜には終わるが、寸法に問題がれば作業が延びる能性がある。堀は回のちげで朝まで調した経験をいし、「夜は余裕を持って配してください」と言った。

「社員堂の委託業者に夕と夜を頼んであります」。浦は帳を見て答えた。「夜以も残るは、追加のおにぎりを用する予定です」。堀は「予定より引くと、朝の分がります」とねた。

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浦はし眉を寄せた。「そこまで引かないよう管理します。のに頼ることは考えていません」。堀はそれ以言わなかった。

に戻った翔太は、注文表を渡しながら正夫に週末の話をした。「曜はが遅くまでくかもしれないそうです」。正夫は「そうか」と言っただけだったが、元の計に目をやった。、のかりと械の音で仕事のさをってきた。夜までの予定が、夜けまで延びたことは何度もある。だが今は、会社から昼の予約を打ち切られただ。頼まれていないものを勝に作って持っていくわけにはいかない。

その晩、しず子はの話の横に、翔太が置いていった携帯番号のメモを貼った。「何かあったら話してください」といてある。正夫はそれを見て「若いのは便利なものを持ってるな」と言った。しず子は笑ったが、の角を丁寧に押さえた。昔はから誰かがってきて、急な弁当を頼んだ。今はの向こうにいるの顔が見えなくても、声なら届くのかもしれなかった。

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