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"忘れたコートが教えてくれたこと" 第15話

が過ぎた。

またが来た。

仕事ではしいプロジェクトを任され、忙しいが続いていた。

私は以と同じマンションにみ、

以と同じ会社へ通い、

以と同じように賃収入を受け取っている。

表面だけを見れば、

何もきく変わっていない。

しかし、私は自分のに確かな変化をじていた。

誰かから何かを頼まれた、

以よりも、

「し考えます」

と言えるようになった。

仕事でも、

友関係でも、

族でも。

すぐに「いいよ」と答えることが優しさではない。

自分が納得できるかを確認してから答える。

その習慣がついた。

以の私は、

断ることで相を傷つけるのが怖かった。

たいとわれるのが嫌だった。

博たちは、

そこを正確に見抜いていたのだとう。

だから、

番言いやすいだった。

でも今は違う。

嫌なものは嫌。

分からないものは分からない。

考えるが必なら、

待ってもらう。

それでれていくなら、

最初から私のへく入れる必はない。

ある曜の夜。

私は恵美と駅のレストランで事をしていた。

「ゆい、最本当に楽しそう」

恵美が言った。

「そう?」

「うん。は、笑ってても半分くらい別のこと考えてる顔だった」

「そんな顔してた?」

「してた」

私は笑った。

事を終え、をる。

はかなりえていた。

マフラーを巻き直し、駅へ向かって分ほど歩いただった。

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私は何気なく腕をさすった。

そして止まった。

「あ」

恵美が振り返る。

「何?」

「コート」

「え?」

「に忘れた」

瞬、

とも黙った。

それから恵美が吹きした。

「また?」

私も笑った。

なら、

その来事だけで臓がねたかもしれない。

忘れたコート。

引き返した。

卓の類。

聞いてはいけない会話。

全部が気に蘇っただろう。

でも今は違った。

「戻る」

「でもいいんじゃない?」

「寒いから、今取りにく」

私たちは元来たを引き返した。

分にたへ戻る。

員がすぐに気づいた。

「こちらのコートでしょうか」

「はい。ありがとうございます」

私は受け取り、そので袖を通した。

へると、恵美が言った。

「そのコート、まだ着てたんだ」

「うん」

「嫌なこといさない?」

私はをわせながら首を横に振った。

「コートは何も悪くないよ」

そしてし考えてから続けた。

「むしろ、あのこれを忘れたから戻ったんだよね」

「そうだね」

「戻ったから見えた。見えたから、やめられた」

恵美はさく頷いた。

のが吹く。

私はコートの襟をてた。

同じ寒さなのに、

とはまるで違った。

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