"忘れたコートが教えてくれたこと" 第7話
最に聞きたいこと
博と会うに、私は第者を入れることにした。
付きった相だ。どれだけ決を固めても、きりで昔の話をされれば、が揺れる能性はある。
恵美に同席を頼むことも考えた。
ただ彼女は私の友で、すでに博へいりを抱いている。話を理するというより、私を守るために彼を責めてしまうかもしれない。
そこで、仕事で以相談したことのある藤さんに連絡した。
藤さんは企業の法務部でく働いた、現は企業の契約やトラブル理を支援する仕事をしている代の男性だった。法律代理としてではなく、話しいのと事実確認の会としてなら協力できると言ってくれた。
私は博へ条件を送った。
《会うことには同します。ただしきりでは会いません。第者に同席してもらいます》
数分、話が鳴った。
私はなかった。
続いてメッセージが来た。
《俺たちの問題だろ》
《どうしてを入れるんだ》
私は返信した。
《私のマンションを会社の担保候補にした計画は、私たちだけの問題ではありません》
さらに、
《第者がいるでなければ、今会うつもりはありません》
と送った。
それから分ほど、返事はなかった。
やがて言だけ届いた。
《分かった》
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話しいは曜の午に決まった。
藤さんが借りているさな会議を使う。
当、私は約束より分く着いた。
い壁。
方形のテーブル。
窓のにはの曇り空が見える。
私が持ってきたクリアファイルには、系列をいたメモ、登記を確認した記録、直子さんから受け取った父親の経営方針のコピーが入っていた。
「今は、相を言い負かす必はありません」
藤さんが言った。
「さんが確認したいことだけを確認してください。話が逸れたら、私が戻します」
「ありがとうございます」
本当に聞きたいことは、つだった。
もし最初から私に説して、
私が「嫌だ」と言っていたら、
博はどうしたのか。
そこだけが分からなかった。
午。
インターホンが鳴った。
博が会議へ入ってきた。
以より痩せて見えた。
髪もし乱れ、目のに疲れがある。
私を見た瞬、度を止めた。
「……ゆい」
私は挨拶だけして、席を勧めた。
藤さんが名刺を差しす。
「本は話しいの理役として同席します。な応酬ではなく、事実と今の確認をにめます」
博はらかに満そうだった。
「こんなげさにすることじゃないといますけど」
藤さんは表を変えなかった。
「おだけでは結論がなかったため、このが設けられたと理解しています」
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そこで博は黙った。
最初に彼の話を聞くことになった。
「俺は、ゆいを騙すために結婚したわけじゃない」
博は私を見る。
「会社が本当に苦しかった。父さんが残した会社だし、母さんも守りたかった。でも、ゆいとも結婚したかった」
「だから?」
「全部失わない方法を考えてた」
藤さんが静かに言った。
「つまり、全部欲しかったということですか」
博は顔をげた。
「そういう言い方は……」
「会社も、も、も、お母様の活も、さんとの結婚も。その状態を維持するために、さんへ説する期をろへずらした」
「悪気はなかったんです」
「悪気があったかどうかは、今は論点ではありません」
藤さんの声は淡々としていた。
「なぜ結婚に説できなかったのか、という話です」
博は私を見た。
「式のに言ったら、にさせるとった」
私はそこで尋ねた。
「博」
「……うん」
「私が最初に聞いて、嫌だって言ったらどうした?」
彼の線が揺れた。
「説得したとう」
「何を?」
「会社の状況を説して、分かってもらえるまで話した」
「じゃあ、最まで嫌だって言ったら?」
沈黙。
秒。
秒。
秒くたっても、彼は答えなかった。
やがて、
「……分からない」
と言った。
私はもう度聞いた。
「何が分からないの?」
博は苦しそうに言った。
「ゆいが最まで俺を見捨てるなんて、考えてなかったから」
その瞬。
私は、最に残っていた迷いまで消えるのをじた。