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"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第17話

働く所に戻る

子どもたちが歳半になる頃、私は病院へ復職した。勤務はから始め、夜勤は当面してもらった。久しぶりにへ袖を通すと、鏡のの自分がしらないのように見えた。では「お母さん」と呼ばれ、病院では再び名で呼ばれる。そのつの自分が、ようやく同じ所に戻ってきた気がした。

保育園へ通い始めたばかりの双子は、交代でをした。陸が治ったとえばが咳をし、翌週にはそろってを垂らしている。仕事を休むたびに申し訳なくなったが、護師は「最初のはみんなそんなものよ」と言った。私は勤務表を調してもらいながら、母と松さんの予定も確認した。

松さんは相変わらず畑へていたが、私は子どもを預けることはしなかった。代のに無理をさせてまで働くのは、私の望む形ではない。必なは母に頼み、難しいは職へ相談する。域の子育て支援も使う。助けてもらうことと、誰かに全部背負わせることの違いを、私は自分の暮らしので覚えていった。

職の休憩で、先輩の里さんに「ご主とはどうなったの」と聞かれた。私は必な範囲で事を話し、今は別々に暮らしていると伝えた。里さんはしばらく考えてから、「よく戻ってきたね。

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仕事ものことも変だったでしょう」と言った。私はその言で、胸が詰まりそうになった。誰かに事を説するたび、夫を悪く言い過ぎていないか気にしていたからだ。

復職したの午、私は患者さんの点滴の確認をしながら、仕事の覚がしずつ戻るのをじた。庭では先の見えないことがかったが、病棟では確認すべき項目と報告先がはっきりしている。そのに気づき、私は自分が働くことを好きだったのだといした。子どもたちのためだけでなく、私自ののためにも、この所へ戻りたかった。

「婚しないの?」と聞かれ、私は「まだ決めていません」と答えた。里さんはそれ以詮索しなかった。「どっちを選んでも、乃さんの活が続くことが事だよ」。その言葉を聞いて、私は自分がずっと『正しい答え』を探していたことに気づいた。婚することも、やり直すことも、誰かの期待にわせて決めるものではない。

その頃、幸の振込は半度も遅れていなかった。にていない期は加で働き、次の航の準備もしているという。私は末になると細を確認し、赤い印をつけた。印が増えるほどはしたが、すぐに緒に暮らす理由にはしなかった。返済は当然の責任であり、信頼を戻すための入りにすぎない。

保育園の帰り、が私の腕を引いて「パパ、さかな」と言った。幸が送ってきた魚の写真を覚えていたらしい。陸も「さかな、さかな」と繰り返した。私はのを握り、「お父さんはお魚の仕事をしてるよ」と答えた。子どもたちに父親の悪を言うつもりはなかったが、いない理由を嘘で飾るつもりもなかった。

帰宅すると、幸からさな荷物が届いていた。には子ども用の絵本が冊と、私宛てのがあった。『昔の俺は、を渡せば父親の役目を果たした気になっていた。でも、乃が毎何をしていたか、ほとんどらなかった』。私はを最まで読み、返事は翌にした。言葉が変わったことを認めながらも、その言葉を活ので確かめたいとった。

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