"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第4話
百万円の方
幸の父は、い闘病の末にくなった。夫は当、父親の介護と仕事を両させていた。帰宅してから洗濯物を畳み、通院のは起きして付き添う姿を、私は尊敬していた。結婚を決めたのも、そんななら困ったときに支ええるとったからだった。
父親が残した財産は、預などを理して約百万円だったという。夫は「これでし楽になる」と言ったが、私はそのおの使いにをさなかった。義父が夫に残したものだからだ。けれど夫のや計が急に価になり、帰宅が遅くなり、計への入が減った期は、遺産を受け取った直となっていた。
「百万円、残っているのかい」。松さんはもう度尋ねた。夫は両を膝のに挟み、「ほとんどない」と答えた。「何に使った」。沈黙のあと、夫は競馬の名をした。最初は数千円だった賭けが増え、負けを取り返そうとするたびにきな額を使ったという。
「競馬だけ?」私は尋ねた。夫は目を伏せ、「みにもった」と言った。スマートフォンに何度も表示されていた「もも」という名が浮かんだ。の匂い、らない計、夜の帰宅。私は浮気の無をそので断定しなかったが、なくとも庭のが夜のに流れていたことは、本が認めた。
夫は最初の頃、勝ったの話ばかりしていた。
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さな払戻でをおごり、「俺にも運が向いてきた」と笑っていたことをいす。負けたの話は聞いたことがない。私は当、介護を終えた夫に楽しみができたのならいいとっていた。けれど、勝った話だけを残し、負けた額を隠していたのなら、あの笑顔のも違って見える。
「私の座から百万円引きしたのも、あなた?」夫はさくうなずいた。病院の支払いに使うからと預けたカードを、夫は勝に使っていた。「返すつもりだった。度きく当てれば戻せるとって」。私はそれが返済計画ではなく、賭けの言い訳だと分かっていた。元のに『私の座 万円』とき、夫にも確認させた。
次に借を尋ねると、夫は最初「し」と答えた。私が具体な額を求め続けると、消費者融社で百万円、職の先輩から万円、親戚から計万円借りていると話した。私はを分けて記録した。私への返済と、夫自が第者へ負う債務を混同したくなかったからだ。
「双子がまれた、競馬にっていたの?」夫は私を見ずに「昼は」と答えた。「夜は?」と聞くと、でりったにの相談をしていたという。私が病院での命を迎えた夜、夫は負けたを取り戻す方法を探していた。その事実は、泣きたいというより、胸のにいを置かれたようだった。
松さんは夫へ「今夜は私のに来なさい」と告げた。ただし連れて帰って叱れば終わるとはっていない、と続けた。「乃ちゃんの座に触るのは今で終わり。おは自分の借と、自分が使ったを自分で返すんだ」。夫が何か言おうとしたとき、松さんの携帯が鳴った。相は、夫の古いだという原田という男だった。
話を終えた松さんの顔は、さっきまでとは違っていた。「幸。原田さんから万円借りたのかい」。夫は初めて顔をげた。祖母は続けた。「その借用に、乃ちゃんが保証として名をいたことになっているそうだよ」。私は自分のを見た。そんなに署名した覚えは、度もなかった。