"五歳で売られた天才少女、悪意を嗅ぎ分け父を救う" 第19話
恩返しの油条と千の報い
省都への帰、列はあの、ゆえんが命からがら逃げ延びた、あの沿いのさな町へとち寄った。 線沿いの粗末なトタン葺きのがち並ぶ角。 古びた台ので、髪の老が、今も黙々と油条を揚げる鍋のにっていた。
「おじいちゃん!」
澄み切った声に、油条を返していた老のが止まった。 顔をげると、そこにはピカピカのなりをしたゆえんが、満面の笑顔で駆け寄ってくるところだった。ろには、威堂々たる軍姿のと、護の兵士たちが従っている。
「お、お嬢ちゃん……!? お、無事だったのかい!?」 老は油まみれの布巾を放りし、わず駆け寄ってゆえんの肩を抱きしめた。 「配したんだぞ! あの、攫いの女の仲が台に嫌がらせに来てな……だが、おが無事でお父さんに会えたなら、何よりだ!」
「お父さん、見つかったよ! このが、私のパパ!」 ゆえんが誇らしげに紹介すると、は脱し、老ので々と度の敬礼を捧げた。 「と申します。が娘が飢えと恐怖でにかけていた、温かい油条と逃資を与えて命を救ってくださったこと……陸を代表し、より謝申しげます」
が図をすると、秘がなアタッシュケースを老のに差しした。 には、然と束ねられた数万元の現、そして省都の部にある最設備のった舗の権利証が入っていた。
広告
「め、滅相もない!」老は慌てて両を振ってずさりした。 「ワシはただ、腹を空かせた子供に売れ残りの油条をわせただけだ! こんなを受け取る筋いなんてない!」
その、奥の暗い部から、子に乗った老女が、自由な体を引きずるようにして顔をした。 老の妻だった。数の事故で半が麻痺し、額な医療費が払えずに自宅で寝たきりの活を送っていたのだ。 ゆえんはトコトコと老女の元へ歩み寄ると、その膝にそっと触れ、顔をじっと見つめた。
「おばあちゃん、がかなくて痛い痛いなの? 丈夫だよ。ゆえんがパパを治したみたいに、治してくれる先をいっぱい連れてきてあげる」 ゆえんは老のを握りしめ、真っ直ぐな瞳で見げた。 「おじいちゃん。あの、おじいちゃんがくれた油条はね、ゆえんがお腹いっぱいになるためにどうしても必だったの。今度は、おばあちゃんが痛くなくなるために、このおが必なの。おじいちゃんがゆえんを助けてくれたから、今度はゆえんがおじいちゃんを助ける番だよ」
老の目から、粒の涙が溢れた。 「お嬢ちゃん……あんたは、神様のような子だ……」 善には善を。施されたけを千倍にして返す――陸の信条が、最も温かい形で結実した瞬だった。