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"75万円を借りに来た私に、銀行が告げた65億円の秘密" 第5話

叔父が本当に欲しかったもの

戸さんがいた資料には、いくつもの付と数字が並んでいた。

専な言葉ばかりで、私にはほとんどが分からない。

そので、戸さんはつの取引記録を指した。

「これは約半、別の数株主が保していた神崎物流の株式を、部の投資へ譲渡した際の記録です」

「部のにも売れるんですか」

「所定の続きを経れば能です」

戸さんは、売却単価の欄を指した。

詳しい計算はできなくても、その数字を私の保株数に当てはめれば、億円では到底収まらないことくらいは分かった。

「叔父は、この取引をっていたんですか」

さんが答えた。

「神崎悟氏は会社側で株式の移を把握するにあります。らなかったとは考えにくいでしょう」

私はホテルの会議で見た悟の顔をいした。

これだけあれば困らない。

会社にも迷惑がかからない。

く理した方がお互いに楽だ。

すべて、私の負担を減らしてくれるような言い方だった。

だが実際には、私が株の価値をらないうちに、数億円もい価格で取り戻そうとしていた。

「どうしてそこまで急ぐんですか」

私は聞いた。

「く買いたいだけなら、もっとをかけてもいいはずですよね」

戸さんは頷いた。

「そこがです」

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そして別の資料をいた。

「神崎物流は現、きな資本提携を準備しています」

「資本提携?」

「部企業から資本を受け入れ、今の経営体制をきく変える計画です。そのためには、株主側の定の同が必になります」

しずつが見えてきた。

「もしかして……私の株ですか」

「そうです」

戸さんははっきり答えた。

「牧さんの保比率は、今のな決議に響を与え得る規模です」

私は背に汗をじた。

今まで私は、自分を持ちだとったことなど度もなかった。

会社をかせるだとったことは、もっとない。

だが突然、らない会社の将来をしかねない権利だけが、私ののに落ちてきた。

「私は反対するつもりなんてありません」

「それは今の牧さんの考えです」

さんが言った。

「しかし会社側から見れば、経営方針に従うかどうか分からない株主が突然現れたことになります」

戸さんが続ける。

「しかも牧さんは会社の事を何もりません。どの提案に賛成するかも分からない。会社側にとってはきな確定素です」

だから悟は急いだ。

私が株の価値をるに。

私が自分の持つ議決権のを理解するに。

億円という巨な数字を見せ、私がんで署名するうちに株を取り戻したかったのだ。

「つまり叔父は、私のために株を理しようとしたんじゃない」

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誰に聞くでもなく、私はにした。

「私が邪魔だったんですね」

さんは否定しなかった。

悔しいというより、体のがえていくようだった。

悟は私をらない。

私は、どんな仕事をしてきたか。

母がくなった、どう暮らしてきたか。

を持つために毎いくら貯めてきたか。

何もらない。

それでも、私なら億円を見れば黙って署名するとった。

私は鞄から帳をした。

そして戸さんの説をつずついた。

適正評価は株式部分だけで約億円。

かの実取引。

会社側の資本提携。

私の持つ株がな議決権になり得ること。

きながら、ホテルでペンに伸ばしかけた自分の指をいした。

あと数センチだった。

あと数秒だった。

「さん」

「はい」

「私、会社に入るつもりはありません」

「分かっています」

「役員にもならないし、経営にをしたいわけでもありません」

私は度息を吸った。

「でも、らないとって騙そうとした相に、都よく億円で渡すつもりもありません」

さんは初めて、し笑った。

「それで分です」

「今、叔父とは直接交渉しません」

「その方がいいでしょう。利益が対する当事者同士ですから、第者を介した続きに切り替えます」

私はく頷いた。

これでようやく、こちらにもができた。

そうっただった。

戸さんが、机の脇に置いていたもう冊のいファイルにを伸ばした。

「牧さん」

「はい」

「実は、まだお伝えしていないことがあります」

声が、それまで以に慎だった。

「今回の調査に、古い信託関係の記録も確認しました」

「それが何か?」

戸さんはさんと度目をわせた。

そして、古い類のコピーを私のへ置いた。

そこには、神崎悟の名と、もう。

かにくなった直子おばちゃんの名が並んでいた。

「神崎悟氏は、今回初めて牧さんの株を取り戻そうとしたわけではありません」

私は息を止めた。

「どういうですか」

「何もからです」

戸さんは言った。

「牧さんが財産のをらない、神崎悟氏は何度も株式を放させようとしていました」

「誰に?」

さんが静かに答えた。

「島直子様です」

が真っになった。

「直子おばちゃんが……?」

「はい」

さんは古いファイルにを置いた。

「そして直子様は、そのすべてを拒否しています」

私は類を見つめた。

今まで、直子おばちゃんはただ母の親しい親戚だとっていた。

困ったに助けてくれる、し厳しい普通のおばちゃん。

だが違った。

私が何もらず、万円を貯めるために毎ミシンを踏んでいる。

直子おばちゃんはずっと、私の代わりに神崎と向きっていた。

そしてさんが、次の枚を取りした。

「このを読めば、直子様が何を守っていたのか分かります」

そこにかれていた最初の文を見た瞬、私は声を失った。

『本がらないうちに、そののを勝に決めるのはやめてください』

そのには、神崎悟に向けた直子おばちゃんの署名があった。

そしてさらに、そのの奥には、母がに残した通の封筒が保管されていた。

母が私に億円を隠し続けた本当の理由が、そこにかれていた。

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