"50人ドタキャンで廃業寸前、そこへ現れた意外な客" 第7話
歪んだ謝罪と聖の列
会社を叩きされた真治は、乱れたネクタイを直す余裕もなく、逃げるようにタクシーへび込んだ。
「クソッ……なんで俺が! あんな負け犬のテツなんかにをげなきゃいけないんだ!」
内で爪を噛みながら、真治はスマートフォンを操作した。まだ事態の刻さを理解していなかった。テツは昔からお好しで、押しにい男だった。適当に酒の席を設けて「悪かった、これからは定期に会社のみ会で使ってやるから」と恩着せがましく持ちかければ、簡単に許すはずだ——そうを括っていたのだ。
プルルル、プルルル……ガチャ。
『はい、居酒鉄です』
「テツ! 俺だ、真治だ! おい、今どこにいる!?」
『……真治か。何の用だ。仕込みで忙しいんだが』
テツの声は、先週とは打って変わって、く引き締まっていた。
「いやさー、先週の件、ちょっと悪かったとってよ! おもってるだろうけど、に流してくれよな! 約束通り、今夜またうちの部署ので予約入れてやるからさ! それでチャラってことでいいだろ? 今からにってやるよ!」
真治は勝ち誇ったように言った。客を入れてやるのだから、向こうもぶに決まっている、と。
しかし、受話器の向こうから返ってきたのは、乾いた失笑だった。
『……真治。お、それが謝罪のつもりか?』
「は? 何言ってんだよ、の予約だぞ? おの、に困ってんだろ? 助けてやるって言ってんだよ!」
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『断る。今夜はおの席なんてつもない』
「はあ!? 嘘つけ! 平の曜から、おのボロが満席になるわけねえだろ!」
『嘘だとうなら、自分の目で確かめに来ればいい。……度と話してくるな』
ツーツーという通話終音。
「あの野郎……調子に乗りやがって!」
タクシーが町の裏に滑り込んだ。
をりた真治は、自分の目のに広がる景をにして、言葉を失った。
午半。まだまで以あるというのに、『居酒 鉄』ののには、最尾が見えないほどの蛇の列ができていたのだ。
列を作っているのは、黒いジャージやTシャツを着たプロレスのファンたち、仕事帰りのサラリーマン、そして気にあふれた若者たちだった。その数、ゆうに百を超えている。
「おい、最尾ここですか!?」
「将の仕込んだもつ煮込み、今こそえるかなあ!」
「先週の曜、神会たちが貸切で絶賛したっていうあの居酒だろ? 絶対いたいよな!」
ファンたちが々に語りっていた。
先週末、プロレスの選やスタッフ、そして神会本がSNSで「最の男気を持つ将の」「奇跡の汁と絶品もつ煮」と々に発信した結果、『鉄』は夜にしてプロレスファンので伝説の『聖』へと変貌を遂げていたのだ。
「な、なんだよこれ……どうなってんだよ……!」
真治が呆然とち尽くす、の引き戸がき、仕込みを終えたテツが簾を掲げるために表へてきた。
その姿を見つけた瞬、真治は混みをかき分け、狂ったように駆け寄った。
「テツ! テツ、待て!!」