"50人ドタキャンで廃業寸前、そこへ現れた意外な客" 第3話
嵐のプロレスラー軍団
「……いや、ここで泣いていても、何も変わらないよな」
テツは震えるで膝を叩き、ゆっくりとちがった。
「将……?」
「ミキちゃん、泣くのはだ。せっかく仕込んだ命だ、捨ててたまるか。所の常連さんに話して、タッパー持って取りに来てもらおう。半額でも何でもいい、べてくれるに配るんだ」
がりだった。どれだけ配ったところで、今夜の損失の数分のも埋まらないことは分かっていた。それでも、仕込み台ので美しくる材たちを、無為にゴミ箱へ投げ捨てることだけは、料理としてのプライドが許さなかったのだ。
そのだった。
ガラガラガラッ!!
の引き戸が、壊れんばかりの勢いで乱暴にけ放たれた。
夜のたいとともにび込んできたのは、黒いスーツを汗だくにして乱した、代半の若い男だった。肩で激しく息をし、額からは滝のような汗が流れ落ちている。
「す、すみません! 突然本当に申し訳ありません!」
青はカウンターに突っ伏すようにして々とをげた。
「将! 今から……今から名、入れますでしょうか!? あの……超、いばかりなんですが!!」
テツとミキは、顔を見わせて固まった。
「ご、名……? 今からですか?」
「はい! 実は……隣の楽園ホールでの興を終えたばかりでして、私が配していたはずの打ちげ会の違いで、予約が完全にすっぽ抜けていたんです! 今、のに選とスタッフ名がち往していまして……! 何軒も断られて、ダメ元でこちらの簾が見えたのでび込みました! 無理を承です、余り物でも何でも構いません、入れないでしょうか!?」
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青の首元からがったスタッフパスには、『プロレス連盟・巡業制作部』の文字が刻まれていた。
テツは無言のまま、がりの座敷を見つめた。
そこには、キャンセルされたばかりのの料理が、湯気をてて完璧な状態で並んでいる。
「……入れます」
「え……?」
「今すぐ、全員入ってください! 席、料理も酒も、すべて完璧に揃っています!」
「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!!」
青が転がるようにへびし、「入れます! 全員入れます!」と夜空に向かって叫んだ。
その直だった。
ドス、ドス、ドス、ドス……!
衆居酒の古いが、震度の震のように激しく揺れ始めた。
簾をくぐって内に崩れ込んできたのは、規格の巨漢たちだった。〇センチ、体〇キロを超えるヘビー級のレスラーたち。首の太さが丸太のように太く、胸板は鋼鉄の板のようにい。揃いの黒いジャージを着た若選から、テレビで誰もが見たことのあるベテランのレジェンドレスラーまで、の筋骨隆々の男たちが、狭い居酒の空をギッシリと埋め尽くした。
「うおおっ! なんだこのは! 料理がもう全部並んでるぞ!」
「おいマネージャー、予約ミスったって言ってたのに、最の配じゃないか!」
座敷に座ったレスラーたちが、歓の声をげた。
「将! とりあえずビール杯! いや、ピッチャー全部持ってきてくれ!」
「串焼き、このバットのやつ全部焼いてくれ! もつ煮込みも鍋ごとっちまいたい!」
絶望の底に沈んでいた『鉄』の内が、瞬にして号のような活気と気に包まれた。
テツは迷うことなく焼き台にを点け、炭を赤々と熾した。
「へい! んで!!」
テツの腹の底から、今番の威勢のいい声が響き渡った。