"一年後の請求書" 第3話
夜の焙煎と練られた奇策
そのの夜、午半。 最の滴までをみ干し、悠々とをてったを見送った、俺はの鍵を固く閉めた。 内は静まり返り、荒らされた奥のブースには、消しゴムのカスとタコ配線の跡がくっきりと残されていた。
「権利と義務、ねえ……」 俺はカウンターの奥に腰掛け、ノートパソコンをいた。 商社代、俺は法務部と連携しながら数々の複雑な取引契約を作成してきた経歴がある。契約の文言つ、特約条項のがいかに力な法拘束力を持つか、骨の髄まで叩き込まれていた。 あの気なガキは言った。『規約にいていない』『契約に基づいている』と。 ならば、奴が泣いてぶような、完璧な規約と契約を用してやればいい。
「ポク、ポク、ポク、チーン……よし、これだ!」 俺はキーボードを叩き始めた。 作成したのは、規の舗サービスメニュー。 その名も――【当ご顧者様専用・プレミアムプライベートブース会員契約】。
内容は見すると、のPC作業やゲームを楽しむノマドワーカーにとって、このない『神プラン』に見えるよう巧妙に偽装されていた。 ・珈琲杯の注文のみで、終のブース利用が能。 ・最初のブレンドコーヒーは毎回百円引き。 ・速Wi-Fiおよび源コンセントの自由利用権を付与。
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・専用ブースの事確保。
だが、この契約の真骨頂は、盤以にびっしりと極フォントで記載された、【力超過消費および特定座席占維持に関する特約条項】にあった。 商社代に培った見と、力会社が規模向けに適用している『負荷デマンド料制度』を巧みに組み込んだ、完全なる法トラップ。 具体には以の条項が組み込まれていた。
舗が定める標準力消費量(般ノートPCの軽作業レベル=50W/h)を超過した、超過力1kWhあたりの単価を、業務用特別デマンド係数に基づき、通常レートの百倍とする。
連続滞がを超過した、舗の平均客席回転率および平均客単価(千円)に基づき、席あたりの会損失補填として『席占維持費』を分単位で自加算する。
ただし、の般利用客(以内の退、またはごとの追加ドリンク注文)については、記ペナルティ料を『百パーセント全額免除』とする。
本契約に基づく各種利用料の精算は、事務処理の理化のため、契約締結から起算して『満箇の累計括請求』とする。
「常識な般客にとっては、ただ珈琲がくなって席が確保できる超優良プラン。だが、朝から晩までゲームを繋いで居座り続ける寄虫にとっては……」
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画面に並ぶ数式をシミュレーションしながら、俺の元に徹な笑みが浮かんだ。 さらに俺は、ネットで業務用のスマート力メーターを即発注した。コンセントごとに消費力をリアルタイムで計測し、クラウドサーバーへ毎秒単位でログを永久保できる、最鋭の計測器だ。
翌、俺はりいの弁護士事務所を訪れ、契約の文面をリーガルチェックしてもらった。 「橘さん、これ……悪質な居座り客に対する自策ですね?」 ベテラン弁護士は鏡の奥の目をらせ、わずニヤリと笑った。 「ええ。民法の『契約自由の原則』に完全に致しており、公序良俗にも反しません。利用者にはい免除規定があるため、暴利為ともみなされない。相が自署捺印すれば、裁判でも百パーセント勝てる完璧な契約ですよ」
お墨付きは得た。 あとは、あの獲物が自ら罠にび込んでくるのを待つだけだった。