"時給1111円で高齢者5人を雇った結果" 第12話
元がをげた夜
「杯、いいですか」
塩田はさな声で言った。
俺はし迷った。
だが客として来たを追い返す理由はない。
「どうぞ」
彼は番端のカウンターへ座った。
「醤油ラーメンを」
俺は黙って作った。
以、偵察に来たときと同じものだ。
塩田はゆっくりべた。
。
。
半分ほどべたところで箸が止まった。
「うまいですね」
「ありがとうございます」
「より、うまくなってる」
「みんなのおかげです」
塩田は厨の向こうを見た。
黒田さんは片付け。
梅原さんは翌の餃子のごしらえ。
青さんは発注表。
桜さんはから戻ったところ。
桃子さんは常連客と話している。
「俺」
塩田が突然言った。
「このたちがいた頃、度もちゃんと話したことがなかったんですよ」
俺は黙って聞いた。
「勤務表と作業効率しか見てなかった。佐伯さんなら何卓片付けられるか。黒田さんなら何分で洗い物が終わるか。青さんなら何休まず来るか」
塩田は笑った。
「それで管理してるつもりだった」
「……」
「でも、何が好きかも、昔何をしていたかもらなかった」
桃子さんがこちらへ来た。
「塩田さん」
彼はちがろうとした。
「座ってなさい。まだべ終わってないでしょ」
昔の教師そのままの言い方だった。
塩田は、力なく座り直した。
「すみませんでした」
「何について?」
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「全部です」
「それじゃ分からないわ」
塩田は唇を噛んだ。
「契約を切ったこと。皆さんを役にたないとったこと。それから、このに嫌がらせをしたこと」
内が静かになった。
「本当に、すみませんでした」
くをげる。
誰もすぐには答えなかった。
やがて黒田さんが言った。
「俺はな、あんたが契約を切ってくれたこと自体は、今となっちゃ謝してる」
塩田が顔をげる。
「ここへ来られたからな」
「でも」
黒田さんの目が鋭くなる。
「嫌がらせは別だ。だけじゃない。客まで巻き込んだ。そこは簡単に『いいよ』とは言えん」
「はい」
「ちゃんと責任取れ」
「はい」
それだけだった。
塩田は残ったラーメンをべた。
会計の、俺が受け取ろうとすると、彼は聞いた。
「赤坂さん」
「はい」
「どうして、皆さんをそんなにうまく使えたんです?」
「使ったつもりはないですよ」
俺は答えた。
「このに何ができるかを、俺が決めなかっただけです」
塩田は黙った。
「黒田さんが炒飯作れるなんてらなかった。梅原さんがあんな速さで餃子包めるのもらなかった。桜さんが町のってるのも、桃子さんが所のの名覚えてるのも、青さんが数字にいのも」
俺はを見る。
「勝に見せてくれたんです」
塩田は財布をしまった。
「ありがとうございました」
はまだだった。
傘を持っていない。
それを見た桜さんが、奥から本取りした。
「これ持ってけ」
「でも」
「の忘れ物だ。半たっても誰も取りに来ん」
塩田は傘を受け取った。
「ありがとうございます」
そしてをていった。
その背を見ながら、俺はてっきり、これで塩田とは最だとった。
ところが翌朝。
桃子さんが、とんでもないことを言いした。
「。あの、ここで働かせてあげられない?」
「……誰を?」
「塩田さん」
俺は持っていた丼を落としかけた。