"5000万円の新居に義両親が無断で引っ越し――夫の嘘" 第11話
暴かれた共謀の履歴
「……見ればいいだろ! やましいことなんて何もないっての!」
健太は吐き捨てるように鳴ると、パスコードを解除したスマートフォンを、ダイニングテーブルの端へ乱暴に放り投げた。 画面は緑のトークアプリをいたまま、激しい着信通で点滅を繰り返している。発信元は『母さん』。通のプレビューには「どうなってるの!?」「彩佳さんを説得しなさい!」という切り声のような文字が並んでいた。
私は指先を震わせることなく、端末をに取った。 義母・千鶴とのトーク画面をき、メッセージの履歴を遡る。 週、ヶ、ヶ――。 画面をスクロールするたびに、私の背筋を氷の刃でなでられたような悪寒がった。 そこには、私が像していた「親孝のき違い」などというぬるいものではなく、緻密に計算された搾取の程表が、々しいテキストとして残されていたのだ。
遡ること半、私たちがマンションの購入を正式に決めた直のやり取りで、私の指が止まった。
『千鶴:彩佳さん、同居は嫌だって言ってるんでしょ? 本当に丈夫なの?』 『健太:最初は嫌って言うに決まってるだろ。だから引越し当まで黙っておくんだよ。荷物をトラックで運び込んじゃえば、あいつも断れない。彩佳はで波てるのが嫌いな性格だから、業者ので「帰れ」
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なんて絶対に言えないよ』
呼吸が詰まりそうになる。 私が頃から切にしていた「周囲への気配り」や「穏便に物事を収めようとする優しさ」を、この男は最初から『自分たちの求を押し通すためのみ』として分析し、利用していたのだ。
さらに過のメッセージを遡ると、戦慄すべき計画の全貌が浮かびがってきた。
『千鶴:駅のマンションなら病院も通いやすいわね。腰がつらいから本当に助かるわ』 『健太:彩佳は週、でリモートワークしてるからさ。平も病院の送り迎えや買いしを頼めるよ。料理も得だし、夕飯の準備もあいつにやらせればいい。母さんは何もしなくていいから』 『千鶴:助かるわぁ。じゃあ、今のを売ったおはどうしようかしら?』 『健太:そのまま老資として取っておけばいいよ。向こうの親が千万円もしてくれたから、うちの親父たちは居費を円も払う必がないんだから。丸儲けだよ』
私はスマートフォンの画面を伏せ、テーブルのに置いた。 部のの空気が、まるで真の底のようにたく澄み渡っていく。 しみも、涙も、とっくに蒸発していた。残ったのは、目のに座る「夫」というき物に対する、底れぬ軽蔑だけだった。
「……健太。私の宅勤務はね、あなたの母親の介護や送迎の空きじゃないのよ」
「あ、あれは……母さんをさせるために、ちょっと調子よく言っただけで……!」 「私の親がした千万円をあてにして、自分たちの実を売ったを丸々浮かせようとしていたのね。……私の、私の、私の。全部をあなたたち族の都のいい具として計算していたのね」
健太は目を泳がせ、喉をヒクヒクと鳴らしながら、必に言い訳を探すように両を宙に彷徨わせた。 だが、度暴かれた悪の証拠は、どんな言葉をもってしても覆すことはできなかった。