"5000万円の新居に義両親が無断で引っ越し――夫の嘘" 第4話
伝いに来た両親の帰宅
引越し当の朝。抜けるようなれの、午半に私と健太は居のオートロックを解錠し、部に入った。 すでに昨晩のうちに運び込まれていたダンボールで、廊はの踏みも狭い状態だった。
午過ぎ、私の両親が玄関のチャイムを鳴らした。 「おはよう、彩佳、健太君。邪魔にならないように、軽い差し入れだけ持ってきたよ」 母が渡してくれた袋には、所のベーカリーで買った焼きたてのサンドイッチと、温かい緑茶の筒が入っていた。父は作業用の軍をはめ、玄関先の靴を端に寄せながら、周囲を穏やかな目で見回していた。
「お父さん、お母さん、わざわざいのにありがとう。荷解き、伝ってもらって悪いね」 私が恐縮してをげると、母は荷物の隙を際よく片付けながら、優しい笑みを浮かべた。 「いいのよ。物の搬入が終わって、部の形が見えたら私たちはすぐに引き揚げるからね。初から親が居したら、健太君も気疲れするでしょうし」 「そんなことないよ。泊まっていってもいいのに」 私が冗談めかして言うと、父が横からピシャリと、だが温かみのある調で遮った。
『バカを言いなさい。婚夫婦のしいだぞ。親が初からがり込んで泊まるような非常識な真似ができるか。
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活のペースはで作るものだ』
その瞬だった。 リビングの隅で蔵庫の設置位置を確認していた健太が、ビクッと肩を震わせ、に持っていたメジャーを取り落とした。 カシャンと属音がに響く。 健太は拾いげたメジャーを握りしめたまま、自然なほど素く私の両親から目を背け、額に滲みた汗を袖で乱暴に拭った。その横顔には、何か恐ろしい秘密を隠し持っている特の、焦燥とろめたさがべっとりと張り付いていた。
(……健太? どうしてそんなに怯えた顔をしているの?) 私の胸の奥に、たい胸騒ぎがチリチリと燻り始めた。
午の作業は順調そのものだった。引越し業者の際よい作業により、私たちのダブルベッドが主寝に収まり、健太の買ってくれたきな蔵庫と洗濯が所定の位置に据え付けられた。リビングの央には真しい無垢材のテーブルが置かれ、ようやく「」としての輪郭がっていった。
「やっと落ち着いたね。健太、お疲れ様」 私がリビングで汗を拭いながら声をかけると、健太は窓のをしきりに気にしながら、「あ、ああ……まだまだこれからだろ」と、領を得ない返答を濁した。 正午を過ぎ、作業が区切りついたところで、両親は約束通り靴を履いた。
『健太君、娘をよろしく頼むよ。
でしっかり話しって、にの着いた暮らしをしなさい』 父が玄関のドアノブにをかけながら、健太の肩をポンと叩いた。 健太は引き攣った笑いを浮かべ、「は、はい! 任せてください、お義父さん!」と、妙に裏返った声でをげた。 両親のエレベーターがしていくのを見届け、玄関のいドアが閉まった、刻は午をし回っていた。
部のには、静寂が戻っていた。 「お腹空いたね。お母さんがくれたサンドイッチ、べようか」 私がリビングへ戻ろうとした、まさにそのだった。 壁に埋め込まれたインターホンのモニターが、けたたましい子音を鳴らして点滅した。