"5000万円の新居に義両親が無断で引っ越し――夫の嘘" 第3話
消えた仕事部の段ボール
マンションの売買契約を結ぶ直、私は健太に対し、たったつだけ絶対に譲れない条件を提示していた。
『健太、これだけは約束してほしいの。私の両親とも、健太のご両親とも、最初から同居することは絶対にしない。だけで暮らしたいの』 健太はその、しだけ目を黒させながら「なんでだよ? もし親が困ったらどうするんだよ」と満げに首を傾げた。 私はごく自然な、そして誠実な理由を丁寧に説した。
『最初から同居したら、婚のの活リズムや価値観を作るがなくなっちゃう。将来、本当にお互いの親に介護や支援が必になったら、そのに番いい方法を緒に考えよう。施設を探すのか、所に呼び寄せるのか、それとも同居なのか。そのになってから相談したいの』 私の論理な説に、健太は「まあ……確かにまだ親も元気だしな。分かったよ」と頷き、同にサインするかのように納得した素振りを見せていた。 私はその言葉を完全に信じ切っていた。
しかし、引越しのがづくにつれて、居の準備ので奇妙な違がいくつもをもたげ始めていた。
本格な引越しの、私たちは自分たちのを使って、壊れやすい荷物や籍などの部を先して居へ運び込んだ。
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このマンションの3LDKの取りは、主寝となる畳の、将来の子供部を定した畳の、そして玄関脇にある畳の最もさなで構成されていた。 私は製薬会社の企画職として、週には自宅でのリモートワークが義務付けられていた。密性のい臨データや社秘の企画を扱うため、リビングから隔された施錠能な個がどうしても必だったのだ。
「健太、この番さな畳の部、私の仕事部として使わせてもらうね。デスクと本棚を置いて、宅勤務に集したいから」 私が専や資料の詰まったダンボール箱個をその部の隅に運び込むと、健太は部の央にち、腕を組んでそうに井を見げた。 「えー? ここ、おの仕事部にするの? なんか狭くないか? 仕事なんてリビングのテーブルでノートパソコンけば分だろ」 「臨試験のデータや事評価も扱うから、画面を族に見られるのもセキュリティ規程ダメなのよ。なら畳で分すぎる広さだし」 私がそう説して笑いかけると、健太は「ふーん……」とだけ返事をして、そそくさとリビングへ戻っていった。
異変が起きたのは、そのの夜だった。 私が台所で荷解き用の雑巾を洗って畳の部に戻ると、先ほど部の隅に綺麗に積みげておいたはずの私のダンボール箱が、跡形もなく消えっていたのだ。
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驚いて隣の畳のを覗くと、私の荷物が乱暴に部の央へ押しされていた。
「健太! なんで私の荷物を勝にかしたの?」 リビングでスマホをいじっていた健太を問い詰めると、彼は画面から線をげようともせず、面倒くさそうに吐き捨てた。 「あそこ、狭いからさ。荷物置くなら広い部の方が邪魔にならないだろ」 「でも、あそこは私の仕事部にするって言ったじゃない。でデスクを組みてるんだから、荷物はあそこにあっていいのよ」 「あとで戻せばいいだろ。細かいこと気にするなよ」
健太はそう言って適当に話を打ち切った。 私は違を覚えながらも、「引越しのバタバタで気がっているだけだろう」と自分を納得させてしまった。 だが、それは健太の気まぐれなどでは断じてなかったのだ。 あの男は最初から、あの畳の部を「別の」のために空けておく必があった。私の仕事部という主張を力づくで排除し、堀を埋めるための卑劣な第歩だったのだと、今ならはっきりと分かる。