"義妹が奪った父のベンツ――事故の電話で義母が絶句" 第14話
父のベンツ
事故、ベンツは修理で詳しく点検してもらいました。
幸いきな損傷はなく、バンパー付の軽い傷を直せば問題なくれる状態でした。
数週、修理を終えたを受け取りにくと、黒い体がの差しを静かに反射していました。
「く乗っておられるんですね」
備士さんが言いました。
「父のなんです」
「事にされていますね」
その言葉を聞いた瞬、胸がくなりました。
私は運転席に座り、ハンドルへそっとを置きました。
父が使っていた頃と同じさな傷が残っています。
品のように直すこともできました。
でも私は消しませんでした。
父がこのできていた証だからです。
エンジンをかけると、く落ち着いた音が内を満たしました。
私は最初の目を決めていました。
父の墓です。
霊園へ着く頃には、空がい茜に染まり始めていました。
と線を持ち、墓のへちます。
「お父さん」
声にして呼ぶのは久しぶりでした。
「、守ったよ」
が吹き、線の煙が横へ流れました。
私は父に、これまでのことをゆっくり話しました。
健と婚すること。
子や美穂とは距を置くこと。
奈緒がずっと私を配していたこと。
そして、自分が「することが族を守ること」だとい込んでいたこと。
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「お父さんが言ってた、やっと分かった気がする」
あのの病。
父は鍵を渡しながら言いました。
自分ので好きなところへきなさい。
私はその言葉を、ただに乗って旅しろというだとっていました。
でも違ったのかもしれません。
に決められたではなく、自分でを選べ。
そう言ってくれていたのだといます。
「随分遅くなっちゃったけどね」
私は笑いました。
墓を磨き終え、をわせました。
議なことに、もう健たちへのいりはありませんでした。
許したわけではありません。
忘れるつもりもありません。
ただ、彼らのためにこれ以自分のを使いたくないとったのです。
り続けることさえ、彼らにを渡し続けることになる。
私はもう分渡しました。
分。
これから先は、自分のために使います。
霊園をると、ベンツの窓に夕が映っていました。
私はスマートフォンを取りし、奈緒へ話しました。
「もしもし、お母さん?」
「今、おじいちゃんのお墓」
「戻ってきた?」
「うん」
「よかったね」
「奈緒」
「何?」
「今までごめんね」
娘はしばらく黙りました。
「何が?」
「族を守ってるつもりで、ずっとあなたにもさせてた」
話の向こうからさなため息が聞こえました。
「じゃあ、これから取り返せばいいじゃん」
「何を?」
「お母さんの」
私は笑いました。
「そうだね」
話を切ると、運転席へ乗り込みました。
目は決めていません。
けれどはありませんでした。
父が残してくれたと、自分で選べるがある。
それだけで分でした。