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"義妹が奪った父のベンツ――事故の電話で義母が絶句" 第12話

夫の逃げ

翌、健は戸先の事務所へやってきました。

私が同席するとはっていなかったのでしょう。会議へ入って私を見つけた瞬、が止まりました。

「由美」

私は何も答えませんでした。

夫はスーツを着ていますが、ネクタイは曲がり、目のには濃い隈ができています。

「これは族の話だ。弁護士なんか入れる必ないだろ」

「森田さんから正式に依頼を受けています」

戸先が答えました。

健は苛ったように子へ座りました。

「美穂がを売ろうとしたことは俺も悪かったとってる。でも俺は直接何もしてない」

「の処分方法について相談しましたね」

「妹に聞かれただけだ」

「奥様の命保険について、受取変更を問いわせたことは?」

健の顔が張りました。

「税のことを調べただけだ」

「本の同なしに?」

「俺たちは夫婦だぞ」

戸先は淡々と類をめくりました。

「夫婦であっても、本のを無してよい理由にはなりません」

健は私を睨みました。

「お、どこまで話したんだ」

私はバッグから枚の写真をしました。

奈緒が撮った、健と女性の写真です。

テーブルのへ置くと、夫の顔が変わりました。

「この方は?」

「仕事のりいだ」

「ホテルへ緒に入る仕事ですか?」

「誤解だ!」

私は次に、戸先が理したメッセージ記録を置きました。

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夫の端末を勝に調べたものではありません。女性側との関係について法に確認できた範囲の資料です。

健はしばらくを見つめていました。

そして突然、声をめました。

「由美。俺も追い詰められてたんだ」

「何に?」

「お袋と美穂だよ。あいつらがを何とかしろって毎言うから……」

予通りでした。

今度は母親と妹へ責任を押し付け始めました。

「俺だって美穂の借なんか背負いたくなかった。でもお袋がだろ。だからを売ればしは何とかなるとっただけなんだ」

「私のです」

「分かってるよ!」

「分かっていません」

私は夫の目を見ました。

「あなたは今でも、私の物なら族が勝に使っていいとっている」

健は黙りました。

「それから私がいなくなれば丸く収まる、と言いましたね」

夫の顔から血の気が引きました。

私は録音を再しませんでした。

聞かせる必もありません。

「録ってたのか」

その言で、自分の発言を認めたも同然でした。

健は急にを抱えました。

「違うんだ。あれは腹がって……」

「もういいです」

私は婚届をテーブルへ置きました。

「ありがとうございました」

夫が顔をげました。

「待てよ」

「待ちません」

「俺を捨てるのか?」

その言葉に、私はわず笑いそうになりました。

私を族の財布として扱い、父のを奪い、保険まで自分に変えようとしたが、「捨てるのか」

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と言う。

「あなたが先に私を族からしたんです」

健の唇が震えました。

「俺にはおしかいないんだ」

「違います」

私は写真を指しました。

「あなたには選んだがいるでしょう」

「彼女とはもう終わった!」

「それも私には関係ありません」

健は子からちがりました。

「由美!」

戸先が静かに制しました。

「落ち着いてください」

夫はしばらくったまま私を見ていました。

やがて肩を落とし、再び子へ座りました。

、私はこのの嫌を恐れてきました。

しかし今見ると、目のにいるのはただ、自分の選択の結果に怯えているの男でした。

私は婚届を残し、席をちました。

ろから健の声がしました。

「本当に終わりなのか」

私は振り返りませんでした。

「終わったんじゃありません」

扉にをかけました。

「私はこれから始めるんです」

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