"義妹が奪った父のベンツ――事故の電話で義母が絶句" 第4話
港の倉庫
翌朝、美穂は珍しく半に起きてきました。
いつもなら昼くまで寝ているのに、すでに化粧を済ませ、着に着替えています。子も落ち着かず、何度も計を見ていました。
私は何もらないふりをして噌汁を作りました。
「由美さん。今は買い物にくの?」
子が尋ねました。
「午からこうとっています」
「そう。じゃあ午はにいるのね」
その確認の仕方が妙でした。
私は「はい」と答えました。
事の、美穂がベンツの鍵をにちがりました。
「ちょっとかけてくる」
「どこへ?」
健が聞を読みながら尋ねると、美穂は瞬だけ言葉を詰まらせました。
「友達のところ」
「気をつけろよ」
夫はそれだけでした。
美穂がをると、子も数分に「へく」と言ってていきました。
が別々にく理由が分かりません。
私は階へがり、位置確認の画面をきました。
ベンツは昨と同じ港の方向へんでいます。
私は戸先へ連絡しました。
「がまた倉庫へ向かっています」
「分かりました。森田さんは追わないでください」
「でも……」
「よりあなた自の方が切です」
その言葉で踏みとどまりました。
私は父のを守りたい。
けれど父なら、のために危険な所へで向かうことを望まないでしょう。
午分。
広告
位置報は港の角で止まりました。
分。
分。
分。
きません。
やがてスマートフォンに、らない番号から話がかかってきました。
「森田由美さんのお話でしょうか」
男性の声でした。
「はい」
「こちら、両関係の続きを扱っている者ですが……佐藤美穂さんという方をごじですか?」
胸がざわつきました。
「義妹です」
「あなた名義のおについて、譲渡の相談を受けているのですが、ご本の承はありますか?」
私は目を閉じました。
やはり。
「ありません」
話の向こうで、男性が息を呑みました。
「そうですか。ではこちらでは取り扱えません。し自然だったのでのため確認させていただきました」
私は礼を言い、話を切りました。
その直、位置報がき始めました。
美穂は取引を断られたのでしょう。
しかしへ戻ってくる方向ではありません。
沿いの幹線をかなりの速度でっています。
何をしているの。
私は画面を見つめました。
午分。
赤い印が突然止まりました。
交差点のくです。
その、ミリもきませんでした。
嫌な予がしました。
数分、今度は子から話が入りました。
「由美さん、今どこにいるの?」
声がずっています。
「ですけど」
瞬、沈黙しました。
「……本当に?」
「どうしたんですか?」
「何でもないわ」
話は方に切れました。
私はますます分からなくなりました。
子はなぜ、私がにいることを確認したのでしょう。
そして午分。
今度は自宅の固定話が鳴りました。
私は階にいたため、のリビングに戻ってきていた子が先に受話器を取りました。
「はい、佐藤です」
数秒、義母の表が変わりました。
私は階段の途でを止めました。
「病院?」
さく漏れたその言。
子は私が見ていることに気づいていません。
私は音をてず、階段のにちました。
話の向こうから何か説を受けています。
そして子は、信じられないほどたい声で聞き返しました。
「黒いベンツを運転していた女?」
私は息を止めました。
次の瞬、義母の顔に奇妙な笑みが浮かびました。