"母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日" 第10話
をるのは、私ではなかった
に入る頃、と建物をめぐる話しいは現実な段階へんだ。
義父側にも代理が付き、瀬先とので面のやり取りが始まった。
私が望んだのは、ただつだった。
もうあのを義父たちへ無償で使わせ続けたくない。
建物が義父側の所である以、だけを取り返せばすべて即座に終わる、という単純な話ではない。それでも、瀬先は過の経緯や利用の状況を理し、最終には双方が期限を決めて退・建物処理をめる方向ですることを目指してくれた。
最初、義父はだった。
「円も払わん!」
「嫁にをげるくらいならんだ方がましだ!」
そんな言葉を何度もにしたらしい。
けれど融資計画は完全に止まった。
浩司は倫問題と慰謝料請求を抱えた。
さらに母の座からいたについても、返還を含めた話がんでいる。
親戚からも距を置かれ、誰も義父へ資を貸そうとしなかった。
かも経たないうちに、義父の態度は変わった。
瀬先の事務所で顔をわせた、義父は別のように老けていた。
「由美」
以なら呼び捨てにされても何もじなかった。
そのは、その声がひどくく聞こえた。
「を残す方法はないのか」
私は答えなかった。
瀬先が条件を説する。
広告
義父側が定期内に転居すること。
建物については専業者を入れ、をどう返還するか現実に協議すること。
私のを使った築計画や担保提供の企てを完全に撤回すること。
今、私へ直接威圧な連絡をしないこと。
義父はを見つめていた。
「俺たちは……どこへけばいい」
その言葉を聞いた、初盆の午が蘇った。
『今すぐこのの籍を抜けてていけ』
あのの義父は、私がどこへくのか考えもしなかった。
暮らしたから、鞄つで追いそうとした。
「お義父さん」
私は初めて、正面から彼を見た。
「私が初盆へくだけで、ていけと言いましたよね」
義父の元が震えた。
「それは……売り言葉に買い言葉で」
「浩司さんは何も言わなかった」
隣にいる浩司が俯く。
「お義母さんは、度と戻ってくるなと言いました」
義母も黙っている。
「私は、その通りにしただけです」
義父が机へをついた。
「頼む。許してくれ」
、度も聞かなかった言葉だった。
「許すとか許さないとかではありません」
私は静かに言った。
「もう戻らない。それだけです」
義父は肩を落とした。
その姿を見ても、勝ったという気持ちは湧かなかった。
むしろいからめたようだった。
私はこのをずっと恐れていた。
声。
威圧。
「」という。
けれど、こちらが「従わない」
と決めただけで、その力は驚くほどさくなった。
会議が終わった、瀬先が言った。
「由美さん、疲れましたか」
「し。でも、議なんです」
「何が?」
「初盆の、お義父さんからていけと言われたは、が終わったような気がしました。でも今は……」
私は窓のを見た。
「終わったんじゃなくて、やっと始まったんだとえます」
先はし笑った。
「お母様もそうっているかもしれませんね」
私はバッグのの古い鍵を握った。
母が最にくれた鍵。
あれは庫をけるためだけの鍵ではなかった。
私自を閉じ込めていた扉をけるための鍵だった。