"母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日" 第8話
母のは、誰のものか
「皆さん、静かにしてください」
瀬先の言で、広に再び沈黙が戻った。
義父は顔を真っ赤にしたまま座っている。
先ほどまで「森田のため」と胸を張っていた姿は完全に消えていた。
先は私名義のについて説した。
「このが森田由美さんの所であること自体に争いはありません。ただし建物との関係や、これまでの使用については過の事がありますので、何でも方に決められるという話ではありません」
私はその説を聞きながら、しした。
瀬先は最初から言っていた。
法律は復讐の具ではない。
相を懲らしめるため、都のいい結論だけを押しつけるものではないと。
だから私が求めたのは、「今すぐを壊せ」という乱暴な求ではなかった。
まず使用の関係を理し、今について正式に協議すること。
そので、私はもう無償でを使わせ続けるがないことを確にした。
「」
私は初めて自分から話した。
「母がこのを買った、お義父さんの事業はかなり苦しかったですよね」
義父は俯いた。
「浩司さんから、私の母へおを頼めないかと言われました。でも私は断りました。それをった母が、自分からを買ってくれたんです」
親戚たちは静かに聞いている。
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「ただ、母はを森田へ贈ったわけではありません。私の名義にしました」
私は母の計簿のコピーをした。
そこには母の字で残されている。
《由美の。あちらののためではない。由美が困った、自分のでつための所》
叔母ではなく、義父側の親族のがさく息を呑んだ。
私は続けた。
「お義父さん。浩司さんは、母のことを『便利な財布だった』と言いました」
「浩司!」
叔父が鳴った。
浩司は首を振った。
「違う、あれは腹がって――」
「言いました」
私は遮った。
「私の目ので」
広の空気がさらにたくなる。
「母は、あなたたちへを貢いだのではありません。娘である私が、もし困ったに逃げられるように残してくれたんです」
義父は何も言えなかった。
私は義母を見た。
「お義母さんは、昨母のを『貧乏臭い』と言いましたね」
義母の顔が引きつる。
「そんなの、ちょっとした言葉の――」
「母はあので、朝から夜まで働きました。私を育てるためです。私はもう、母のを侮辱すると族ではいられません」
浩司がさな声をした。
「由美……悪かった」
私は彼を見た。
「何が?」
浩司は答えられなかった。
倫したことか。
母のおを使ったことか。
を狙ったことか。
私を追いそうとしたことか。
母を侮辱したことか。
あまりにもすぎて、本にも分からないのだろう。
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瀬先が類を取りした。
「由美さんは婚を希望されています。財産関係、貞為に関する損害賠償、そのの問題については今正式に協議します。またについても、現の利用関係を解消する方向で通しています」
義父がを乗りした。
「待て! そんなことをされたら俺たちはどこにむんだ!」
「それは今の話しいで決めることです。ただ、由美さんの所権を無して、勝に担保へ入れたり、しい宅計画をめたりすることはできません」
「は俺が建てた!」
「だからこそ、と建物について法に理する必があります」
義父は親戚たちを見回した。
「おたちも言ってくれ! 嫁が義理の親を追いすなんて非常識だろう!」
誰も答えなかった。
しまで義父を褒めていた親戚たちが、次々と目をそらす。
そして最の叔父が言った。
「正雄さん。今聞いた話が本当なら、非常識なのはあなたたちだ」
義父の顔から血の気が引いた。
「由美さんの母親に世話になっておいて、その娘を追いし、まで取ろうとした。しかも浩司は別の女と子供まで作っている。親族の名を利用して、こんなことの片棒を担がせるつもりだったのか」
「違う!」
「何が違う」
叔父はちがった。
「私はこの件には切関わらない」
それをきっかけに、の親族も席をち始めた。
義父が呼び止める。
「待ってくれ! 話を聞け!」
誰も振り返らなかった。
世体を守るために集めた親族が、義父かられていく。
義母はそのに座り込み、泣き始めた。
「どうしてこんなことに……」
私は静かに言った。
「私にも同じことを聞きたいです」
。
どうして、こんなことになったのか。
でも今は、答えを探す必はなかった。
私はもう、そこかられることを決めていた。