"母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日" 第6話
母のを荒らした代償
玄関にっていたのは、瀬誠弁護士だった。
義父は先の顔をらなかったが、に持っている名刺を見た瞬、何かを察したらしい。
「弁護士……?」
「森田由美さんから依頼を受けています」
瀬先は靴を脱ぎ、荒れた座敷を見回した。
にはアルバムや類、母の裁縫具が散乱している。
「何があったんですか」
「このたちが権利を探して、母の物を全部――」
「族の問題だ!」
義父が割り込んだ。
「弁護士がをすことじゃない!」
瀬先は声を荒げなかった。
「由美さんの所物に関する問題です。それから、ここはくなったお母様のです。なくとも由美さんが管理している現、勝に内を探し回ることを当然の権利のように扱うのはやめた方がいい」
義父の勢いがしまった。
私はに落ちていた婚届を拾い、瀬先へ渡した。
「これをされました」
先は瞥した。
「由美さんは婚自体には同されています。ただし、条件については正式に協議します。今ここで署名する必はありません」
「婚するならつでていくのが普通だろう!」
義母が叫んだ。
「は置いていきなさいよ。私たちがもんできたのよ!」
「所権とは、くめば自に移るものではありません」
先は淡々と答えた。
義父が悔しそうに唇を噛む。
広告
「は俺が建てたんだぞ」
「その点も含め、と建物の関係を理します。これまでの経緯、当の、建築費、使用の条件などを確認したで対応します。ですから力ずくで類を探すのはやめてください」
義父は反論できなかった。
私は荒らされた座敷ので、黙ってっていた。
勝ったとはわなかった。
ただ、初めて私と義父たちのに「第者」が入ったことで、続いていた歪な力関係が崩れ始めたのをじた。
瀬先がへ告げる。
「今、や婚について由美さんへ直接威圧な連絡をすることは控えてください。必な連絡は私へ」
「そんなげさな」
浩司がようやくをいた。
先は彼を見た。
「美穂さんの件も含めてです」
浩司は黙った。
義父が息子を睨む。
義母はらかに揺していた。
先が美穂の妊娠までっているとはっていなかったのだろう。
が帰った、私は母のを片付け始めた。
瀬先も伝ってくれた。
「すみません、こんなことまで」
「いいですよ。ただ、由美さん」
先はに落ちた写真を拾いながら言った。
「これから相は、かなり焦るといます」
「でしょうね」
「特に融資が止まれば、お義父さんの計画そのものがかなくなる。追い詰められたは、今まで以にになります」
私は頷いた。
広告
「先。つお願いがあります」
「何でしょう」
「親戚を利用されるといます」
義父は世体を何より気にする。
自分たちが私を追いしたとられればが悪い。
だから、きっと私を「精神に定になって自分からていった嫁」に仕てる。
瀬先も同じ考えだった。
「事実関係を理しておきましょう」
その夜、瀬先が帰った、私は母の裁縫箱を元の所へ戻した。
蓋をけると、古い糸巻きや針が入っている。
底にはさな袋があった。
からてきたのは、母が昔使っていた計簿だった。
何気なくページをめくる。
の欄に、を購入したの記録が残されていた。
《由美の。あちらののためではない。由美が困った、自分のでつための所》
私は指を止めた。
母は最初から分かっていたのかもしれない。
義父母がどういうか。
娘がいつか追い詰められるかもしれないことを。
それでも結婚を壊せとは言わなかった。
ただ、逃げだけを残してくれた。
「お母さん……」
計簿を胸へ抱いた。
その夜過ぎ。
実の固定話が鳴った。
義父だった。
「由美。の午、親族で話しう」
挨拶もない。
「何の話ですか」
「おの婚とのことだ。浩司の親族を集める。そこで全部決める」
「私のを、どうして皆さんで決めるんですか」
「答えするな!」
義父が鳴った。
「おが駄々をこねて、森田全体に迷惑をかけてるんだ! 親戚ので話せば、おも自分がどれだけ非常識か分かる!」
話は方に切れた。
私は受話器を置いた。
そして瀬先へ連絡した。
「の午、親族会議だそうです」
先はしを置き、言った。
「好都かもしれません」
「え?」
「相が自分から、証を集めてくれるんです」
私はそのを理解した。
義父は私を追い詰める台を用したつもりなのだ。
けれど、その所でらかになるのが誰の嘘なのか。
まだ義父だけが気づいていなかった。