"三千円の温泉旅行" 第12話
もう度、同じ宿へ
それから季節が巡った。
が過ぎ、桜が咲き、町内の側溝掃除が終わり、祭りも無事に終わった。
翌、福田さんががへやってきた。
「静子さん。今の旅じゃが、また恵の湯でどうじゃろ」
私はし驚いた。
「あんなことがありましたけど」
「だからこそじゃ」
福田さんは笑った。
「男が、の皆さんの顔が忘れられんと言うてな。今も同じ千円でやるそうじゃ」
私はすぐに承した。
参加数は最初からを超えそうだった。
美代さんは本当に番に申し込んだ。
「今は主の写真を持っていきます。それから栗ご飯、杯べます」
「ご主の分まで?」
「はい」
留さんはその話を聞いて、「じゃあ私は杯だ」と笑った。
夜、私はまた茶ので案内状をいた。
務がお茶を持ってくる。
「今の目は決まったか」
「もちろん」
私はとほとんど同じ文章をいた。
《き先 隣町温泉・恵の湯 昼・入浴付き 千円》
務が横から眺めた。
「はそのに随分助けられたな」
「今は助けられなくて済むといいけど」
「目は?」
「集」
「目は?」
「タオルをお忘れなく」
務は笑った。
案内状を配ってからほど経った頃、参加申込が続々と戻ってきた。
私は枚ずつ確認し、名簿へ丸を付けていった。
そのの午、留さんが畑で採れたスイカを抱えてやってきた。
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「静子ちゃん、回覧板持ってきたよ」
「ありがとうございます」
「それと、これ見てみな」
留さんが枚の参加申込を指した。
名を見て、私はを止めた。
矢野夫。
、婦部の世話役を辞めて以来、町内会の事にはほとんど姿を見せていなかった。
私はを裏返し、もう度確認した。
本の字に違いなかった。
恵の湯の参加欄に丸が付いている。
そして、その横にさな文字がいてあった。
《目、読みました》
留さんが声をげて笑った。
「やっと目から読むようになったみたいだね」
私はすぐには笑えなかった。
あれだけのことがあった。
参加しづらいはずだ。
それでも申し込んできた。
「静子ちゃん、嫌なら断ってもいいんじゃないか」
留さんが聞いた。
私は首を振った。
「役員会で参加資格を失わせると決めたわけではありませんから」
「相変わらず真面目だねえ」
「会計ですから」
私は名簿の矢野夫の名にも、のと同じ丸を付けた。