"三千円の温泉旅行" 第11話
会計を辞めようとった夜
騒が終わってから週ほど経った頃、私は福田会に「来度も会計をお願いできるか」と聞かれた。
そのでは「し考えさせてください」と答えた。
正直なところ、辞めようとっていた。
帳簿を付ける仕事そのものが嫌だったわけではない。
ただ、町内会のためにやってきたことで「使い込み」と疑われたことが、っていた以に堪えていた。
その夜、私は台所で領収を理しながら務に言った。
「来、会計を辞めようかとってるの」
務は聞から顔をげた。
「そうか」
引き止められるとっていたので、し拍子抜けした。
「止めないの?」
「止めてほしいのか?」
「そういうわけじゃないけど」
務は聞を畳んだ。
「静子が嫌なら辞めればいい。町内会のために体を壊す必はない。ただ、矢野さんに嫌なことをされたから辞めるなら、それは本当に静子がしたいことなのか、もう回考えた方がいい」
私はを止めた。
「どういう?」
「お、あの帳簿を付けるの嫌いじゃないだろ」
「好きでもないわよ」
「じゃあ、なんで毎あんなに丁寧に領収を貼ってる」
答えられなかった。
確かに私は、数字がぴたりとう瞬が嫌いではなかった。
誰かから集めたおが、どこへったか分からなくならないようにする。
百円でも千円でも、理由があってていったことが分かるようにする。
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それはさなことだが、私は切なことだとっていた。
翌、買い物帰りに留さんと会った。
「静子ちゃん、来会計辞めるって本当かい」
「まだ決めてません」
「辞めてもいいけどさ、あんたが嫌になったなら仕方ない。でも矢野さんのせいなら、私は悔しいね」
「留さんまで務と同じこと言うのね」
「だってそうだろ」
留さんは笑った。
「私は数字が苦だから、あんな帳簿絶対できないよ。でも静子ちゃんはできる。だったら、できるがやってくれたら助かる」
帰宅すると、福田さんから封筒が届いていた。
には、今回の旅に参加したたちの言がかれたが入っていた。
《栗ご飯、おいしかったです》
《バスだったので膝が楽でした》
《来も参加します》
《静子さん、これからもよろしく》
そのに、美代さんの文字もあった。
《主とのいの所へ、もう度連れていってくださってありがとうございました》
私はしばらくその文を見つめた。
そして翌、福田さんへ話した。
「来の会計ですが……もうだけ、やらせてください」
話の向こうで福田さんが笑った。
「と言わず、元気なは頼むよ」
「それは困ります」
今度は私も笑った。