"三千円の温泉旅行" 第6話
自分で配った証拠
話を切ったも、私はすぐには眠れなかった。
腹がっていないと言えば嘘になる。
、町内会のおは円単位まで記録してきた。集した付も、支払った額も、領収の番号も残している。旅の費用についても福田会と幹事に確認してもらい、勝な判断は度もしていない。
それなのに「使い込み」とかれ、町内に写真を流された。
布団に入っても、その言葉だけがに残った。
隣で務が言った。
「眠れないか」
「ええ」
「だったら、帳簿をのでもう度計算するのはやめろ。ってる数字を百回計算しても、百回目も同じだ」
私はわず笑った。
以役所勤めをしていたらしい言い方だった。
「でも、皆さんがどうっているかしら」
「町内のを馬鹿にしちゃいけない。あの写真をちゃんと見たなら分かる」
翌朝、実際に何かから話が来た。
最初は留さんだった。
「静子ちゃん、昨のLINE見たよ。あれ、バス代を抜いて計算してるじゃないか。誰か教えてやらなかったのかね」
「私からこうか迷ったんですけど」
「かなくて正解さ。あれだけきく数字が写ってりゃ、みんな分かるよ」
次に美代さんから話があった。
「静子さん、今の役員会、私もっていいでしょうか」
「もちろんですけど……」
「鶴亀楼で矢野さんが何を言っていたか、私、そばで聞いていましたから」
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美代さんはし迷った、もうつ付け加えた。
「受付で予約を確認していた、矢野さん、“町内会の矢野です”って名乗っていたんです」
私はわず黙った。
矢野さんは副会である。
しかも予約を入れたのは、その妻だ。
町内会は福田さんなのに、なぜ会を名乗る必があったのか。
級旅館へ団体予約を入れる際、自分たちのをきく見せようとしたのかもしれない。
午には福田さんもがへ来た。
「静子さん、これをコピーさせてもらってええか」
私が作った案内状と会計報告だった。
「もちろんです」
「昨、男にも確認した。恵の湯はこの、も休んどらん。事の予定もない」
「やっぱり……」
「それから鶴亀楼にも聞いてみた。町内会の団体予約として受けたそうじゃ」
福田さんはそこで度言葉を切った。
「予約者は“矢野町内会夫”となっとった」
私は息を吐いた。
つずつだった違が、本につながっていく。
い宿では恥ずかしい。
級旅館へきたい。
会も承していると言う。
恵の湯が休業だと嘘をつく。
町内会夫を名乗って予約する。
そして、支払いは積からさせる。
最初から自分のおで豪華な旅をするつもりなどなかったのだ。
午半。
私は帳簿、領収、案内状、役員会議事録を呂敷に包んで公民館へ向かった。
いつもならほどしか使わないに、くが集まっていた。
央には福田会と幹事。
その横には副会。
美代さんと留さん、旅参加者たち。
そして番に、矢野夫が背筋を伸ばして座っている。
私が入ると、彼女は満そうに微笑んだ。
「会計さん。やっと来たのね」
その表を見て、私は分かった。
矢野夫はまだ、自分が呼ばれた理由を理解していない。