"三千円の温泉旅行" 第3話
つに分かれた旅
旅当の朝は、つないれだった。
午分、公民館には型バスがまっていた。私は参加者名簿を片にずつ名を確認していったが、になっても来ないがあまりにかった。
の予定だったのに、バスに乗ったのは。
とくに婦部のたちは、美代さんを含めてほとんど来ていなかった。
「夕べから急に欠席の話が何件もあったんじゃ」
福田さんが議そうに言った。
「理由を聞いても、皆さん妙に歯切れが悪くてな」
私は矢野夫が鶴亀楼へ誘っていたことを伝えるべきか迷った。しかし、まだ本から何も聞いていない以、バスので騒ぎにするのは違うとった。
「とにかく、私たちは予定通りきましょう」
そう言うと、隣にいた留さんがみかんの入った袋を持ちげた。
「そうそう。ならでいいじゃないか。静子ちゃん、みかんべるかい?」
内に笑いが起きた。
田んぼでは稲刈りが終わり、ところどころに藁が積まれていた。の々はしずつづき始めている。
私は窓のを眺めながら、しずつ気持ちが落ち着いていった。
恵の湯に到着すると、福田さんの男が玄関まで迎えてくれた。
「数が減ったって父から聞きましたけど、栗ご飯はたくさん炊いてありますよ。
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余ったらおにぎりにして持って帰ってください」
建物は確かにしくはなかった。けれどの廊は磨き込まれ、玄関には季節の野がけてある。庭の向こうにはきな柳のが揺れていた。
私はその景を見ながら、美代さんの話をいした。
もしかすると、ご主と写真を撮ったという柳はあのかもしれない。
方、その頃、を本隔てた鶴亀楼には、矢野夫に誘われた婦部のたちが集まっていた。
になって美代さんから聞いた話では、矢野夫は個に入るなり嫌だったという。
「皆さん、慮しないで。せっかく来たんだから好きなものを頼んでちょうだい。お酒だっていいのよ」
予約は分だった。
実際に参加したのは。それでも矢野夫は、欠席した分について何も気にしていなかった。
仲居が「当のお取り消しなので、お料理代は頂戴いたします」と説すると、彼女は平然と答えた。
「丈夫。町内会の積が万円以あるんですから」
美代さんは、その言葉を聞いて初めてになったそうだ。
「矢野さん、積って……静子さんが管理しているおですよね?」
「だから何? 旅のためのおなんだから、旅に使えばいいでしょう」
「でも、私たちは千円と聞いて……」
「そんなっぽい旅だから私が変えてあげたのよ」
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矢野夫は笑って言った。
その直、恵の湯の玄関で私の携帯話が鳴った。
画面に表示された名を見て、私は瞬ためらった。
矢野夫だった。
「はい、森川です」
番、彼女はこう言った。
「会計さん。積万円、今すぐしなさい」
あまりに突然だったので、私は聞き違えたのかとった。
「……何のおでしょう」
「決まってるでしょう。旅代よ。千円のっぽい旅なんかで、副会の妻の私に恥をかかせる気? 余ったお、どうせあなたが使い込んでいるんでしょう?」
私は玄関の端に移した。
るより先に、つだけ確認しなければならないとった。
「矢野さん。発にお配りした案内状の目は、お読みになりましたか?」
話の向こうでで笑う声がした。
「目? そんなもの、どうだっていいわよ」
その返事を聞いた瞬、私は逆に静になった。