"「バカ息子」と笑う義父母、旅行中に息子夫婦が消えた" 第5話
もぬけの殻と赤の真実
決の、週末の朝はひとつないだった。
玄関先には、義父母の巨なスーツケースがつ並んでいた。
「おい、琢磨! もたもたしないでくタクシーに荷物を積み込め!」
玄関のポーチで腕組みをした義母が、顎で指図する。義父はすでにタクシーの部座席にふんぞり返り、くせと運転を急かしていた。
「料理がかったら承しないわよ。留守の庭の入れ、雑本残さないようにね!」
捨て台を残してりる個タクシー。そのテールランプが角を曲がり、完全に界から消えた瞬——。
私と琢磨は、顔を見わせて力く頷いた。
「よし、始めよう!」
あらかじめ配していた段ボール箱箱が、リビングに積みにされていた。私たちは分けして、寝、キッチン、斎から、自分たちの私物を凄まじいスピードで箱に詰め込んでいった。
、本、仕事の類、結婚式のアルバム、そして私たちが汗垂らして買い揃えた調理器具や器類。義父母の私物には指本触れず、自分たちの痕跡だけを、まるで最初からしなかったかのように消しっていく。
午、きなディーゼルの音を響かせて、型のアルミバントラックががのに横付けされた。
運転席からりてきたのは、作業着を着た柄な男性——私の父だった。
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運送会社を経営している私の父は、事を打ちけた夜、激しながらも『よし、任せろ! 娘と事な婿殿を、そんな化け物敷から今すぐ救いしてやる!』と、自らトラックをして駆けつけてくれたのだ。
「お義父さん、本当にすみません……!」
々とをげる琢磨の肩を、父は分いでドンと叩いた。
「バカ言え、琢磨くん! 自分のを守るための引っ越しだ、胸を張れ! さあ、野郎ども、積めるだけ積むぞ!」
父が連れてきてくれた屈な社員名のにより、型蔵庫、洗濯、ダブルベッド、リビングのソファーに至るまで、私たちが購入した具はあっというにトラックの荷台へと吸い込まれていった。
しかし、作業が終盤に差し掛かった午過ぎ。
階の子供部——義父母が法占拠していた部の片付けを確認しにった琢磨が、クローゼットの奥から枚の埃をかぶった茶封筒を拾いげた。
「……はる子、ちょっとこれを見てくれ」
青ざめた琢磨が差ししてきたのは、義父母が旅の荷造りの際に慌てての隙に落としていったとわれる、分い郵便物の束だった。
封筒の表には、赤いスタンプで太々と印字された文字。
『最終通告 至急ご納付のお願い』 『消費者融お借入残証 現残:計百万円』 『賃貸宅管理センター 賃滞納に伴う契約解除および渡し予告通』
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息を呑んだ。
「これ……どういうこと……?」
「父さんも母さんも、定に派に活レベルを落とせなかったんだ。父さんは競馬や競輪にのめり込んで消費者融にをし、母さんは見栄を張ってリボ払いでブランド品を買い漁っていた。アパートの賃を半も滞納して、制退寸だったんだよ」
居が完成したと報告した際、普段なら箱の隅をつつくように反対するはずの義父母が、なぜか諸を挙げて賛成した理由が、ここにすべて繋がっていた。
は息子の自を祝ったのではない。賃も払えずに迷いかけた自分たちの逃げとして、息子の居に目をつけたのだ。
『来損ないの息子の面倒を見てやる』なんて偉そうなを叩いて、実際は自分たちが息子に寄しなければ野垂れぬ寸だったのだ。
午、すべての作業が完した。
具が何つない、ガランとしたリビングの央にち、私たちは空っぽの空を見渡した。残されたのは、階のリビングに散らばる義父の脱ぎ散らかした靴と、競馬聞の残骸。そして階を占拠する義父母の段ボール箱だけだった。
「こう、はる子。俺たちの本当のを始めよう」
私たちは玄関の鍵を閉め、父のトラックの助席に乗り込んだ。
あいつらが温泉から帰ってくるのは、の夕方。
自分たちの元で、どれほど巨な破滅の落とし穴がいているかもらず、今頃は豪華な呂で贅沢に浸っていることだろう。
本当の獄は、ここから始まるのだ。