みかん小説
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"生け垣を伐った4日後、隣人が青ざめた理由" 第18話

ひこばえの息吹と夫の笑顔

「どうしたの、柚?」 私が縁側からり、履を鳴らしてづいていくと、柚はさな指先で、太い切り株の根元を指差していた。 「見て、おばあちゃん! 赤ちゃんがいるよ!」

切り株の、ゴツゴツとした古い皮の割れ目。 その黒い肌を突き破るようにして、米粒ほどの鮮やかな、みずみずしい黄緑の芽が――つ、つ、つと、力く顔をしていたのだ。 を浴びて、まれたての赤ん坊の産毛のように、微かなを放っている。

「……ひこばえ、ね」 私の瞳から、わずい涙がポロポロとこぼれ落ちた。 佐々親方が言っていた通りの奇跡だった。 『株を残しておけば、は相たやすくにゃあしませんよ』

、政治がを耕し、をやり、話しかけながら育ててきた犀の根は、くできていたのだ。 幹を断たれ、枝を失っても、のかなをじ取って、再びしい命をへと押しげてくれたのだ。

「おじいちゃんの、んでなかったんだね!」 柚が満面の笑みで私の顔を見げた。 「おばあちゃん、泣かないで! 私、この葉っぱにおあげる! きくなったら、本当におじいちゃんみたいにチョキチョキしてあげるからね!」

「ありがとう、柚……ありがとうねえ」 私は孫のさなを握りしめ、切り株の温もりにそっと額を寄せた。

が吹き抜け、庭のの匂いがちった。 の奥で、懐かしい政治の笑い声が聞こえたような気がした。 『な、ふみ子。はまたえるって言っただろう? 筋さえ通していれば、命は何度でもやり直せるんだ』

そうよ、お父さん。 あなたの言う通りだった。 目先の損得で筋を曲げた者は自滅し、痛みに耐えて筋を守り抜いた者の庭には、こうしてしい命が芽吹く。 このさな緑の芽は、夫から私へ、そして私から孫の柚へと受け継がれていく、がの誇りそのものだった。

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