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"生け垣を伐った4日後、隣人が青ざめた理由" 第5話

唸るチェーンソーとの角い

伐採のは、通報からわずかの曜に決まった。 来てくれたのは、元での実績を持つ『佐々造園』の親方・佐々(代)と、の若い職たちだった。 焼けした精悍な顔つきの佐々親方は、作業にけ垣と庭の犀をぐるりと見回し、太い幹をおしそうに撫でた。

「奥さん……見事なイヌマキだ。、寸分の隙もなく入れされてきたのが目で分かりますよ。本当に、これを全部切っちまうんですかい?」 職の温かい言葉に、私の目の奥がツンとくなった。 「ええ、親方。主が切にしてきたですが……にて、様にご迷惑をかけてしまっては、あの世の主に顔向けができませんから。綺麗サッパリ、やってください」 「……分かりました。職の誇りにかけて、根の先まで丁寧に仕事させてもらいます」

午。 バリバリバリというをつんざく爆音とともに、チェーンソーの刃がイヌマキの太い幹へとい込んだ。 屑がい散り、青々とした葉をつけた枝が、ドサリ、ドサリと音をてて面へ落ちていく。 もの、を防ぎ、には涼やかなを作り、がを守り続けてくれた々が、本、また本と切り倒されていく。 私の臓が、ノコギリの刃で削り取られるような痛みがった。

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「あらあ! 本当に切ってるわ! あはは、スッキリするわねえ!」 隣の敷から、美津がスマートフォンのカメラを向けながら、嘲笑の声をげていた。 職たちがそうに眉をひそめたが、私は「親方、お構いなく続けてください」と静かに告げた。 庭の犀だけは、根こそぎ抜くことにどうしてもが耐えられず、親方の提案で「センチの株元」を残して切り落としてもらった。 『奥さん、犀はいだ。株さえきていれば、何かには必ずしい芽を吹きますよ』 その親方の言葉が、私の唯の救いだった。

作業は順調にみ、昼過ぎにはすべてのけ垣が切り倒され、型のユンボ(油圧ショベル)を使って、に張り巡らされた太い根の掘り起こしが始まった。 、の奥くへ伸びていた根がバリバリと引き抜かれ、黒が掘り返されていく。

午を回った頃だった。 ユンボのバケットを操作していた若い職が、ガツンというい属音とともにを止めた。 「親方! ちょっと来てください! のから、変なもんがてきました!」

佐々親方がスコップをに駆け寄り、を払いのけた。 私も縁側からりて、掘り返された穴のにった。 そこにあったのは――コンクリートの角い角柱だった。 頂部には、くっきりと字の溝が刻まれ、央に鮮やかな赤いペイントが施されている。

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「……親方、これは?」 「境界標(きょうかいひょう)ですよ。それも、昭の古い官民境界確定のに打ち込まれた、正真正銘の『本物の境界杭』だ」

佐々親方は首を傾げ、ちがってがの敷と、隣の邸のサンルームを見比べた。 その顔から、職としての温な笑みが完全に消え失せていた。

「……おかしいな。おい、巻き尺持ってこい!」 親方が若い衆に鳴り、境界標の位置から、切り倒されたけ垣の並びまでの距を測り始めた。 メジャーをピンと張り、数値を読み取った親方が、信じられないものを見るような目で私を振り返った。

「奥さん……ご主は、どんな仕事を?」 「主は……元の級建築士で、定までの都発の監査役をしておりましたけれど……」

親方は息を呑み、を仰いで唸った。 「やっぱりそうか……! 奥さん、とんでもないことが起きてますよ!」

親方が指差したのは、掘りされた境界標の赤い字。 そして、その先――け垣が取り払われたことで、のに晒された、邸の自のサンルームの基礎コンクリートだった。

「この杭が本当の境界線だとすると……ご主は、境界線からセンチも内側に控えてけ垣を植えていたんだ! そして――」

親方の叫び声が、静まり返った庭に鳴のように轟いた。

「あの隣のサンルーム……基礎の半分どころか、建物の幅の分のが、完全に奥さんの敷のに法占座(ふほうせんざ)してめり込んで建ってますよ!!」

その瞬、隣のの階の窓から、美津が凍りついた顔で見ろしているのが見えた。

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