"母の葬儀写真に現れた女――銀の花に隠された秘密" 第7話
母が残した録音
恵へを届けるに、私は母のをもう度探すことにした。母の言葉に「話す準備をしていた」とじる部分があったからだ。類や写真だけでは、彼女が何を伝えようとしたのか分からない。
仏壇の引きしを空にして、底板を持ちげた。い板のに、さなカセットテープが隠されていた。ラベルには「恵へ」とかれている。古いラジカセはかなかったが、修司が所の器で再を借りてきた。
最初に聞こえたのは、母の咳だった。
『恵。これを聞いているなら、私はもうあなたに直接謝ることができないのでしょう。あなたがまれた、私はあなたのお母さんになろうと決めました。それは千恵子さんのためでも、父さんのためでもない。私が、あなたを抱きしめたかったからです。』
テープのの母は、ゆっくり言葉を選んでいた。以、誰にも話せなかったことを、初めて声にしている。
『あなたが歳のとき、父さんの親族があなたを引き取りたいと言いました。父さんは断りました。でも、当の私は、あなたをいつか奪われると怖がっていた。だから、あなたを叔母夫婦の養子にすることを選びました。あのたちはあなたを切にしてくれた。けれど、私はあなたに何も説しなかった。あなたを守ったつもりで、あなたのから私を消してしまった。
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』
母は、テープので度言葉を止めた。
『あなたが歳になったとき、私は真実を話すつもりでした。でも、あなたはもう幸せそうに見えた。結婚すると聞き、子どもがまれたと聞いて、今さら本当のことを言うのは、私の勝だとった。そうやって、私は何度も言う会を逃しました。あなたがに来た、い湯のみを見て、私は何も聞けなかった。ごめんなさい。』
修司は顔を伏せていた。由美は涙を拭いた。私は、母が話を止めた所にを澄ませた。
『千恵子さんは、あなたを産んだあと、何度も会いに来ました。父さんが拒んだのではありません。私が止めたのです。あなたに会うたび、私はあなたの本当のお母さんが誰なのかを考えるのが怖かった。育てたことを理由に、あなたを自分のものだとっていた。』
録音の最に、母は私たち姉弟にも言葉を残していた。
『紀子、修司。恵を姉だとえなくても構いません。急に族になれと言わないでください。ただ、彼女が選んだを尊してあげて。私ができなかったことを、あなたたちに背負わせるつもりはありません。』
テープが止まった。
誰もすぐにはかなかった。
母が言った「父さんが拒んだのではない」という言葉は、父を善にするためのものではない。母は自分のさを隠さなかった。
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していたから守ったのではなく、放すのが怖くて、真実を奪ったのだ。
私はテープを持って、恵のへ向かった。彼女はを閉めるところだった。
「母の録音が見つかったの」
「聞きたくないと言ったでしょう」
「分かってる。でも、渡すだけはさせてほしい」
恵はしばらく黙り、テープを受け取った。
「聞くかどうかは、私が決めます」
「もちろん」
「あなたは、私を姉とえる?」
私は答えを急がなかった。
「まだ分からない。でも、母があなたを隠したままにしていいとはわない」
恵は目を伏せた。テープを鞄にしまい、の鍵を閉めた。
「、あのにきます。お母さんの部を見たい」
私がうなずくと、の奥で、誰も触れていないラジオが瞬だけ鳴った。
女性の声が、雑音の向こうから言った。
「待っていたの」
恵は振り向いたが、ラジオはすぐに沈黙した。
録音のあと、私は修司とで団のを歩いた。彼は、母に話してほしかった気持ちと、聞かされなくてよかったとう気持ちの両方があると言った。私も同じだった。真実をれば、昔の記憶の見え方が変わる。母が私の髪を結んだ、父が族写真を撮った、恵がをた。そのすべてに、私のらない事がなる。
テープを聞き終えたあと、私は自分の娘にも話をした。理は「おばあちゃんは、私がまれたとき、名を決める相談をしてくれた」
といした。母は理に、いつか自分の族の話をするつもりだったのかもしれない。けれど、話す期を決められないまま、だけが過ぎていった。私は、娘には聞かれたことを隠さないと約束した。
テープを聞いた翌朝、修司は母の墓にった。私は緒にかなかった。彼は、母に何を話したのか尋ねなかった。夕方、話で「母さんに腹がつけれど、会いたいともう」と言った。私も同じだった。りと懐かしさは、同じに向けて同に抱けるのだ。
テープの声は、聞くたびにしずつ違う表を帯びて聞こえた。
再の赤いランプだけが、暗い部に残った。