"銀座の384万円" 第9話
暴かれた億円の
エントランスの子ロックが解除され、名以の制警察官が内に崩れ込んできた。
「警察です! 通報のあった無銭の事案はここですか!」
堂島総支配がにみて、事態を簡潔に説する。百万円を超える代の未払い、逃の試み、スタッフへの威嚇為。
「ま、待ってください! これは族の揉め事で!」達也が血った目で警察官に詰め寄る。「俺は都物産の営業課、田達也です! 怪しい者じゃありません! 名刺も元も保証されています! の朝で必ず振り込みますから!」
「名刺など関係ありません。現実に支払いを拒絶し、逃を図ったのは事実ですね」
配の警部補が達也のを払いのけた。
「額が額だ。悪質な詐欺未遂および威力業務妨害の現犯として、署までご同願います」
「放せ! 俺に触るな! 俺の会社が黙ってないぞ!」
達也が激しく暴れ、警官隊と揉みいになったその瞬だった。
エントランスの寄せに、警察両とはらかに異なる漆黒のセンチュリーが台、滑り込んできた。
ドアがき、りってきたのは、完璧な仕てのスリーピーススーツにを包んだ数名の男女だった。徹な、無駄のない取り。彼らは警察の規制線を悠然とくぐり抜け、内にを踏み入れた。
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先につ髪交じりの紳士が、警察の警部補に対し、内閣府および融庁の特命監査証を提示した。
「ご苦労様です、所轄の皆様。ここからの指揮は、当方が引き継ぎます」
「……っ! 真藤グループ最法務監査班……!」
警部補の顔が変し、即座に挙の敬礼を交わした。警察組織の層部すらかすことのできる、絶対財閥のの執部隊。
監査班の責任者・神崎(かんざき)が、に取り押さえられている達也のに歩み寄り、え切った線で見ろした。
「田達也氏ですね」
「な、なんだよおら……真藤グループが、なんで俺に……」
神崎は胸ポケットからタブレット端末を取りし、達也の顔のに掲げた。
「あなたが過にわたり、都物産の決済権限を悪用してってきた正取引の全容です。親族名義で設させた社のダミー会社への架空システム発費の送、総額億千百万円」
画面には、達也が偽造した請求、ダミー会社の登記簿謄本、そして資が達也の複数の隠し座へ還流していく完全な資洗浄のフローチャートが、詳細に表示されていた。
「な……な、んで……それを……」
達也の顎がれたようにがり、全の力が抜け落ちた。
「都物産は、真藤グループの傘企業です。そして——」
神崎が図を送ると、エントランスの央に設置された型プロジェクターのスクリーンが点灯した。
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そこに映しされたのは、広な斎のデスクで、徹なを瞳に宿して彼らを見ろす、私の姿だった。
『……美央……?』
達也が絞りすように呟いた。も、義弟夫婦も、スクリーンのの私を信じられないものを見るように凝している。
『ええ、私よ。田達也』
私の声が、エントランスのスピーカーから々しく響き渡った。
『あなたが「何の取り柄もないな専業主婦」と見し、便利な財布として利用してきた妻の、これが本来の姿よ。……真藤グループ総帥、真藤美央』
「そ、総帥……!? あいつが……あの巨財閥の……!?」
達也のから、魂の抜けたような鳴が漏れた。彼が誇っていた商社の課という位も、背伸びして使っていた横領も、すべては私が築きげた帝国ののひらので転がされていたに過ぎなかったのだ。
『あなたが横領した億円は、全額の即返還を請求します。当然、本付での懲戒解雇、ならびに背任および業務横領罪での刑事告発を完しました』
「美央……! 嘘だろ、頼む! やり直そう! 俺が悪かった、おをしてるんだ!」
達也がスクリーンに向かっていつくばり、涙とを理に擦り付けて叫んだ。
「美央総帥! 私を助けて! 達也が勝にやったことなのよ!」
もまた、先ほどまでの傲さをかなぐり捨て、見苦しく責任を息子へ擦り付けながら座した。
しかし、私の瞳には、片の慈も浮かばなかった。
『神崎。警察の皆さん。……連れてきなさい』
私のい命令とともに、画面は暗転した。
「田達也、ならびに田。詐欺未遂および業務横領の容疑で逮捕する!」
カチャリ、カチャリ。
たいの錠が、達也との両首に容赦なくい込んだ。
「嫌ああああっ! しなさいよ!」
絶叫するの元から、温かい液体が広がり、理のに異臭がち込めた。あまりの恐怖に、失禁したのだ。
級フレンチレストランの格式いエントランスから、の犯罪者が引きずりされていく。
フラッシュのとパトカーの赤灯が、夜の座のを無慈に照らししていた。