"銀座の384万円" 第7話
件の鳴
「だ、体な、百万なんて端、俺が払おうとえばいつでも払えるんだよ!」
達也は引きつった顔でがり、財布からのクレジットカードを引っ張りした。堅商社の営業課という肩き、そして裏で蓄えていた「資」を信じ切っていた男の、最の虚勢だった。
「ほらよ! これでさっさと切りやがれ! 械が直ったら、度とこんな愉なに来るかよ!」
達也は堂島が差しした携帯型決済端末のスロットに、力任せにカードを差し込んだ。
画面に「通信」の文字が点滅する。数秒の沈黙の、ピピッという甲い子音がエントランスに鳴り響いた。
『取扱能:承認エラーコード05(座凍結/限度額超過)』
「……申し訳ございません。こちらのカードは決済が拒絶されました」
堂島が淡々と告げた。
「な……!? 馬鹿な! 限度額は百万あるはずだ! 座にだって数千万円は入ってるはずだぞ!」
達也は狂ったように財布から別のカードを何枚も引き抜き、次々と端末に擦り付けた。しかし、返ってくるのはすべて、無な拒絶音だけだった。
当然だった。私の指示を受けた真藤グループの最法務監査班が、すでにの決済ネットワークに特権な介入をい、達也が管理するすべての個座および隠し座に対し、緊急の資産保全措置——事実の即凍結を完させていたからだ。
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「貸しなさい! 私のカードを使うわよ!」
が焦り狂って自らのゴールドカードを差ししたが、それも同じエラー音をてて弾かれた。のカードの引き落とし座もまた、達也からの透な送によって維持されていたものだったため、連の関連座として連鎖に凍結されていたのだ。
「嘘……なんで私のカードまで止まってるのよ!?」
「兄さん、どうすんだよ! 俺、持ち万しかないぞ!」
義弟が鳴をげ、その妻は恐怖で顔を覆って震え始めた。
百万千円。
もはや、族の財布をひっくり返しても、銭すらりない絶望な現実がそこに横たわっていた。
「けろ! せ! 監禁罪で訴えてやるぞ!」
パニックに陥った達也が、セキュリティスタッフの隙をすり抜けてガラスドアへ体当たりした。ガタガタと激しい音が響くが、防弾仕様の化ガラスはミリ単位の狂いもなくビクともしない。スタッフの太い腕が達也の襟首を掴みげ、に引き倒した。
「お客様、これ以の暴はおやめください」
堂島はインカムのマイクにを当て、徹な声で命じた。
「無銭および詐欺未遂の現犯、ならびに内での暴力為。……直ちに警察へ〇番通報してください」
「け、警察……!? 待て、待ってくれ! 頼むから通報だけはやめてくれ!」
達也はに膝をつき、けなく叫んだ。
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商社の課というにありながら警察汰になれば、懲戒解雇は免れない。
「誰か……あいつだ! 美央に話しろ! あいつを連れ戻せ!」
達也が狂乱してスマートフォンを取りし、震える指で私の番号をタップした。
プルルル、プルルル……。
呼びし音だけが虚しく響き、通話は途切れる。
「ろよ! ろ! ふざけるな、ろよ美央おおおっ!」
も、義弟も、がかりで憑りつかれたように私の番号を連打し始めた。
着信、件。件。件。
その頃、港区の真藤本邸の斎で、私はデスクのに置かれたスマートフォンの画面を静かに見つめていた。
真っ赤な警告で埋め尽くされた着信履歴のカウンターが、ついに『99』に達した。
私がをてから、正確に分。
かつて私を都のいい財布として見し、残飯を突きつけて嘲笑っていた寄虫たちが、自ら仕掛けた罠に嵌まり、絶望の底で悶え苦しむのにしたのすべてだった。
震え続ける端末の液晶画面に、通算百件目となる義母・の名が浮かびがった。
私はめ切ったハーブティーのカップをソーサーに戻すと、細い指先で画面をスワイプし、スピーカーフォンをオンにしてデスクの央に置いた。