"山奥の身代わり花嫁" 第13話
姉の返事
姉から届いたは、便箋枚だった。「最初から美緒宛てだったとったのは、父が支度を受け取った夜。母が、妹に来た話を耶に回したんだから、今度こそいいに嫁ぎなさいと言った」。そこまで読んで、私は度を止めた。父だけが勝に決めたのではない。母も姉も、私の名が消されたことをっていたのだ。
の続きには、「でも奥の男だと聞いて嫌になった。おがあるなら最初に言ってくれればよかった」とかれていた。謝罪の言葉はなく、最には「私がっていたら全部私のものだったのに」とある。私は何度も読み返した。姉が惜しんでいるのは、武さんというではなく、敷や会社のきさなのだと分かった。
弁護士はの原本を保管するよう助言した。「これは相方の認識を示す資料にはなります。ただ、これつですべてを証できるわけではありません」。私は頷いた。証拠とは、自分が正しいとうための飾りではない。いつ、誰が、何をり、何をしたかをつずつ確かめるためのものだと、ようやく理解し始めていた。
私の代理でいてくれる相談担当者が、受領の署名について父に照会した。父は「娘に頼まれて代した」と説したが、いつ、どのように頼まれたのかは答えなかった。私は失くしたとっていた印について、実をるに母が「古い印鑑はまとめて預かる」
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と言ったことをいした。印の照は専に任せ、私は記憶している事実だけをきした。
その方で、会社の被害は数字になって積みがっていた。宿泊のキャンセル分には取り戻せない売もあり、体験の材料はすでに仕入れてある。の改修事が保留になったことで、職たちは別のさな仕事を探さなければならなかった。私は厨の予算を削る案を考えたが、井さんに「べるを減らしてどうするの」と止められた。
代わりに、堂の定期配達を利用するたちへ事を説し、必な数を改めて確認した。佐伯さんは、の集会所で試会をくことを提案してくれた。評判を取り戻すために騒ぎを起こすのではなく、いつもの料理をいつものへ届ける。私たちにできる仕事を止めないことが、しずつ信用につながるはずだった。
ある夕方、武さんが私をへ呼んだ。そこには完成のきな卓があった。目の違う板をつなぎ、角はが触れても痛くないよう丸く削られている。「しい堂に置こうとっていましたが、今は予定を見直しています」。私は板の継ぎ目を撫で、「待てるなら、いつか皆で囲みたいです」と答えた。
武さんは私の顔を見て、「美緒さんがここに来てから、会社ので話すが増えました」
と言った。私は照れくさくなり、話を逸らそうとした。けれど彼は続けた。「私も、誰かが帰ってくるを楽しみにするようになりました」。その言葉に、胸の奥がゆっくり温かくなった。
翌、姉の投稿にはしい文章が加えられた。「妹は証拠をでっちげて族を脅している」。私は画面を見て、もう私だけが黙っていても終わらないと分かった。会社の顧問弁護士と私の相談担当者は、事実を理したい声をす準備を始めた。そこに載せるのは姉を罵る言葉ではなく、私の名が最初からかれていた類と、私が自分で選んだ仕事の事実だった。