みかん小説
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"山奥の身代わり花嫁" 第5話

き換えられた約束

翌朝、武さんは私にれの鍵と封筒を渡した。封筒には町へ戻るための交通費が入っていた。「かだけ、ここで暮らしてみませんか。客としてお迎えします。結婚を断っても、仕事をしなくても構いません」。私はすぐには頷けなかった。親切にされたで何かを求められることに、慣れすぎていたからだ。

「そのに、おのことも理します」。武さんは昨の百万円について、弁護士に相談するつもりだと言った。宮坂さんを通して父が婚礼準備費を求め、受け取りの類もしている。武さんは当初、私がしいへ移るための準備だと理解していたという。私にはそんな話が度もなかった。

私はさんに話をかけ、事を説した。さんは驚いたあと、「そのがどういうかは、あんた自の目で見なさい。ただし、む所とおは別に確保すること」と言った。私は帳をき、帰りの交通費と持ちの貯をきした。働いたのに貯はくない。に毎渡していた額を計すると、自分でも驚く数字になった。

午、宮坂さんが類を持って訪ねてきた。元町は座るなり私にをげた。「名の確認を怠ったのは私の責任です。野さんのお父さんから、妹さんは縁談を嫌がっていると聞かされていました」

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。私は「嫌がるかどうか、誰にも聞かれていません」と答えた。宮坂さんは返す言葉を失い、鏡をしていこと黙っていた。

類を並べると、父の嘘はしずつ形を持った。最初の依頼には私の名があり、父が送り返したには修正した跡がある。百万円の受領には「野美緒の婚礼準備のため」とかれていたのに、父は姉のための着物代と自分の借返済に使っていた。私は見い当の朝まで、が支払われたことすららなかった。

宮坂さんはさらに、夜に武さんへ留守番話が入っていたと話した。姉からのものだった。武さんは「聞きたくなければ聞かなくていい」と言ったが、私は再を頼んだ。「奥のきこりなんて絶対に嫌。妹なら事ができるから、そっちで使えばいいでしょう」。姉の声はるく、まるで使わなくなった具のき先を決めるような調子だった。

私は再を止めてもらった。りより先に、見いの夜には姉も私の名が候補だったとっていたのだろうか、という疑問が湧いた。父だけが勝にき換えたのか。それとも族で相談して、私を候補からしたのか。今は答えがなくても、もう「族のため」という言葉で片づけるつもりはなかった。

その夕方、母から話が来た。「向こうに着いたなら、お父さんに恥をかかせないで。

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支度は返せないんだから、結婚するまで帰ってこないでちょうだい」。私は録音する許を求める余裕もなく、まず会話のと内容を帳にいた。「私が結婚を断ったらどうするの」と聞くと、母は「そのときはあんたが責任を取りなさい」と答えた。

話を切ったあと、静さんが温かいほうじ茶を運んできた。私の頬に残った赤みを見ても、理由を聞かなかった。「必なことがあれば、いつでもお呼びください」。その言葉に甘え、私は初めて「今夜はにしてほしいです」と言えた。静さんは「もちろんです」と微笑んで部をた。

夜、武さんの弁護士から連絡が入った。百万円の受領の写しを確認していたら、署名に自然な点があるという。武さんは類を私のに置き、「美緒さん、これはご自分でいた字ですか」と尋ねた。私はのにある名を見て、背がたくなった。

そこには私の名が、私の跡を真似てかれていた。さらに署名の横には、実の印鑑ではなく、私が数に失くしたはずの印とよく似た印が押されていた。父は私を姉の代わりに差ししただけではなかった。私がらないうちに、私自が百万円を受け取ったことにされていたのだ。

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