"親族会議で追放された妻――翌朝、七枚のカードが全停止" 第3話
枚のブラックカード
翌朝過ぎ。
私はホテルではなく、丸の内にある本社ビルへ向かった。
最階の会フロアに入ると、私を支えてきた秘の野がエレベーターで待っていた。
「お帰りなさいませ」
私はその言葉にしだけを止めた。
「ただいま、野さん」
、表向きの会業務のくは副会と執チームに任せてきた。私は最終承認と型案件だけを別名義のオフィスから処理し、表台にはほとんどなかった。
理由は、庭を守りたかったからだ。
皮肉なものだとう。
私が庭を守るために分を隠せば隠すほど、彼らは私を価値のないだとうようになった。
会へ入ると、野がタブレットをいた。
「婚届の受理について、自治体側で形式の確認が取れました。契約部が順次処理に入っています」
「カードは?」
「午点で、ご本及び親族へ追加発されていた枚すべてについて利用資格終処理が完しました」
私は頷いた。
それだけだった。
びも興奮もない。
本来彼らのものではなかった権限を、元に戻しただけだ。
「現、枚目の利用照会が来ています」
野が画面を見た。
所は座だった。
翔平はしい交際相の玲奈と、級ブランドにいるらしい。
婚した翌朝だというのに、随分と切り替えがい。
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もっとも、親族会議で「再婚する」とまで宣言していたのだから、驚くほどのことでもない。
「百万円の決済です」
野が言った。
数秒、画面に結果がた。
利用。
私は何も言わなかった。
分ほどして、別のカード番号から照会が入る。
今度は百万円。
利用。
枚目。
枚目。
枚目。
翔平は財布からカードを枚ずつ取りし、員へ差ししているのだろう。
昨までなら、それらはどれも問題なく通った。
限額をほとんど識しなくてもいい特殊な契約だったからだ。
彼はそれを、自分が「選ばれた経営者」だから持てるカードだとっていた。
「枚目も照会です」
野が言った。
私はコーヒーにを伸ばした。
数秒。
また、利用。
「カード会社からご本へ説がわれます」
「こちらからは連絡しなくていいわ」
「承しました」
数分、法務部から報告ががった。
翔平がカード会社へ話し、激しく抗議しているという。
「俺は宮田商事の社だぞ」
そう何度も繰り返したらしい。
だが、カード会社にとってなのは彼の肩ではない。
契約の保証者が誰なのか。
利用資格が継続しているのか。
それだけだ。
昼になると、今度は義母から私へ着信があった。
私はなかった。
すぐに回目。
回目。
回目。
メッセージも届いた。
《紗良さん、翔平のカードが全部使えないんだけど、何からない?》
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昨まで「ていけ」と言っていたの文章とはえないほど、柔らかい調だった。
私は返信しなかった。
昼過ぎ。
産管理部から連絡が入った。
世田の本邸と軽井沢の別荘について、婚姻関係を提とした無償使用契約終の通を発送したという。
もちろん、そののうちにから追いすような内容ではない。
定期内にたな賃貸条件を受け入れるか、け渡しについて協議するよう求める正式な通だった。
彼らには選択肢がある。
相に見う賃を支払ってみ続ける。
あるいは退する。
ただし、本邸だけで額百万円。
別荘の管理費を含めれば、さらに負担は増える。
翔平が自分の収入だけで維持できる額ではないことを、私はっていた。
午。
黒田がしい資料を持ってきた。
「会。宮田氏の会社に関する速報です」
「何かあった?」
「当社からへ、保証条件変更の通が入りました。それを受けて、側が宮田商事へ追加融資枠の再審査を通しています」
「当然ね」
翔平の会社には売があった。
ただし、その約半分は私のグループ会社からの発注だった。
さらに残りの取引も、私の信用保証があるからこそが運転資を供できていた。
彼は売を自分の才能だとっていた。
しかし実際には、その会社は極端に利益率がく、資繰りも定だった。
私は何もからそれをっていた。
っていて、を差し伸べていた。
そのの夕方。
私のスマートフォンに、初めて翔平から話が入った。
昨の夜には、私がホテルに着いたかどうかすら確認しなかった男だ。
私は画面を見た。
着信件。
やがて止まる。
数秒。
件目。
その、野が別の類を持って入ってきた。
「会。し気になるものがあります」
「何?」
野は類を置いた。
翔平が半から、あるへ提していた事業計画だった。
私はページをめくった。
そこには、こうかれていた。
《当社は分な自己資本と、代表者族が保する複数の産資産を背景に、今規模な事業拡張をう》
代表者族が保する産。
私はわずを止めた。
世田のも。
軽井沢の別荘も。
彼は、本当に自分のものとしてへ説していたのだ。
その瞬、私ので今回の婚は、単なる夫婦の別れではなくなった。