"親族会議で追放された妻――翌朝、七枚のカードが全停止" 第2話
署名の
私はそのまま区役所の夜受付へ向かった。
翔平は婚を急いでいた。
しい女性との関係をでもく正式なものにしたいのだろう。だから彼は自分の署名だけでなく証欄までえ、私がけばそのまま提できる状態にしていた。
窓で類を確認してもらう、私は妙に静かな気持ちだった。
というが終わるのに、涙はなかった。
代わりに浮かんできたのは、枚枚の契約だった。
世田のは、翔平のものではない。
正確には、私が代表を務める資産管理会社「SARAアセットマネジメント」の所物だった。
軽井沢の別荘も同じだ。
結婚当初、翔平の会社には宅を購入できるだけの余力がなかった。私が会社名義で取得し、私の配偶者とその同居親族が無償にい条件で利用できる特別使用契約を結んだ。
義父母は度も契約を読んでいない。
「翔平が買った」
そうい込んだままみ続けた。
も同じだった。
カードも同じだった。
翔平が持っている枚のブラックカードのうち、本の信用だけで作られたものは枚もない。私のグループ会社が法保証を提供し、業務・接待・族福利という名目で利用を認めていた。
私は甘かった。
「族になったのだから、このくらい構わない」
そうい続けた。
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翔平の会社への支援もそうだった。
表向きは取引先として発注し、融関との信用保証契約を結び、部の設備投資には匿名組を通じて資を入れた。
私は彼を成功させたかったのではない。
彼が頑張れば報われる環境だけを作ってあげたかった。
ところが翔平は、環境と能力の区別がつかなくなった。
売が増えれば「俺の才能」。
がをげれば「俺の信用」。
級でカードを切れば「俺の財力」。
私は何度か言ったことがある。
「会社のおと、自分のおは分けて考えた方がいいわよ」
そのたび彼は嫌になった。
「経営もしたことない女がすな」
私は黙った。
今えば、それが最初の違いだった。
夜受付をると、がの横で待っていた。
「ホテルを配しております」
「ありがとう」
に戻ったところで、法務責任者の黒田から話が入った。
『神崎会。のため確認です』
ぶりに聞く「会」という呼称に、私はしだけ苦笑した。
「どうぞ」
『宮田翔平氏とその親族に提供しているものは、きく分けてつです。産使用契約、法カードの追加利用資格、宮田氏会社に対する当社保証枠、そしてグループ各社からの優先発注です』
「ええ」
『婚姻関係を条件にしていたものについては、婚成確認、契約条項に従って終通をせます。
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ただし産については、の朝いきなり追いすようなことはできません』
「分かっているわ」
私は窓のを見た。
私は彼らと同じになるつもりはなかった。
「正式な順を踏んで。退についても契約通りの通期を設ける。法にれることはつもしないで」
『承しました』
「カードは?」
『族利用資格で発されたものについては、契約終、順次止能です。会社保証については融関に通しますが、こちらも既契約に従って処理します』
「そうして」
私はし考えた。
「それと、翔平の会社への規発注は止めて」
黒田がい声で答えた。
『それを止めれば、かなり厳しくなります』
「本来の実力が分かるでしょう」
通話を切った。
ホテルの最階に入ったのは午を回ってからだった。
きな窓から京の灯りが見えた。
、私はこの景かられていた。
グラスにを注ぎ、ソファに座る。
その、スマートフォンに通のメッセージが届いた。
翔平だった。
《荷物、ちゃんと全部持っていったか? から取りに来るとか面倒なことするなよ》
私は画面を見て、し笑った。
緒に暮らした女がをた夜。
彼が気にしているのは、私の気持ちではない。
荷物だけだった。
続けて、もう通。
《から俺たちはしいを始める。おもの丈にった活をしろ》
私は返事をしなかった。
代わりに会社の専用端末をく。
そこには、私が結婚してから度も自宅ではかなかった管理画面があった。
SARA HOLDINGS GROUP。
総資産管理。
国内産。
投資先覧。
保証契約。
翔平は度も見たことがない。
義父母もらない。
彼らが私を「何も持たない女」だとい続けた、私はただ、その誤解を訂正しなかっただけだ。
翌朝。
翔平たちは、最初のさな異変に気づくことになる。
彼が「俺の力の証」だと信じていた枚の黒いカードが、枚ずつ沈黙し始める。