"愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て" 第16話
社の就任と、取締役への栄転
季節は巡り、の柔らかな差しがを包み始めた。 武田業株式会社の本社ビルでは、臨株主総会が催されていた。
壇にった志津子会の隣には、しい代表取締役社として、徹の従弟にあたる武田也(たけだ・かずや・歳)がっていた。 也は学部のえ抜きで、これまで技術発部のトップを務めてきた誠実な男だった。数はないが、現の職たちからの信頼はく、経営の代化を推しめるには最も相応しい物だった。
そして、総会の議案の最。 志津子会が、満の株主たちに向かって朗々と読みげた。 「――第号議案。取締役営業統括部として、野百氏の就任を提案いたします」
会から、どよめきと同に、温かい拍が沸き起こった。 壇にがった私は、旧姓である「野」のネームプレートを胸に付け、々とをげた。
婚成、私は度会社を退職する準備をめていた。 しかし、也社と志津子会、そして何より営業部の部たち全員から、連名での引き止め嘆願が提されたのだ。 『百部がいなければ、武田業の営業はちかない』 『お願いです、しい経営陣の柱として、残ってください』
提示された条件は、回の般役員としての待遇を遥かに超える、実質なナンバーツーとしての「取締役就任」
だった。 私はの自したビジネスウーマンとして、自らの実力と実績を正当に評価されたで、この責を引き受けることを決した。
「野取締役、就任おめでとうございます!」 総会終、営業フロアに戻ると、部の社員たちが束を抱えて迎えてくれた。 「部……いえ、取締役! これからもビシバシ指導してください!」 「頼りにしてるわよ、みんな。さあ、今期の売目標、全員で達成するわよ!」
フロアに響き渡る、活気あふれる笑い声。 そこには、誰かの顔を伺い、理尽な暴言に耐え忍ぶ々など、微もしなかった。 自分の流した汗が、正当な成果となって会社と社会をかしていく。 代半ばにしてに入れた、真の居所がそこにあった。