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"愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て" 第15話

遷された元社の針の筵

方、社の座を追われた武田徹の転落劇もまた、無残を極めていた。

志津子会の状酌量――というよりは、創業者族の祥事による企業イメージの完全失墜を防ぐための苦肉の策として、徹は刑事告訴こそ免れた。 しかし、彼にされた処分は、役員解任のでの「支社・営業所倉庫係への無期限遷」だった。

役員報酬額百万円から、介の嘱託社員としての取り収万円へ。 級タワーマンションは解約され、社用のレクサスは没収。 徹が送り込まれたのは、い方都の郊にある、の効きも悪い築のプレハブ倉庫だった。

「おい、武田! 伝票の仕分けが終わってないぞ! ボケッとしてないでくパレットを運べ!」 かつては自分より遥かに階級のだったの倉庫主任から、号がぶ。 の防寒着を着込み、軍をはめた徹は、かじかむ指先でダンボール箱を抱え、ペコペコとをげるしかなかった。 「す、すみません……すぐやります……!」

社内には、徹が横領犯のに騙され、偽の妊娠に浮かれて妻を追いそうとした挙句、母親に社をクビにされたという経緯が、尾ひれをつけてれ渡っていた。 誰として、彼に敬を払う者はいなかった。 昼休み、社員堂の隅で、えたおにぎりをかじる徹の周りには、見えない結界のように誰も寄らない。

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かつて「社」という肩きがあったからこそ、群がっていた友や取引先のたちも、のひらを返したように連絡を絶った。 ゴルフ仲だった経営者たちに話をかけても、『ああ、武田さん? 今ちょっと忙しいから』とたく切られるか、着信拒否に設定されている。 「俺は……武田業の跡取りなんだぞ……なんでこんなところで、にまみれて荷物を運んでなきゃいけないんだ……」

夜、賃万円の造アパートのえ切った畳ので、徹は物のウイスキーを煽りながら、咽び泣いていた。 湯器の調子が悪く、蛇から流れるぬるい湯を浴びるたび、あの、自宅のリビングで妻に言い放った言葉が、ブーメランのように胸に突き刺さる。 自らの傲さが引き寄せた、果てしない孤独のが、彼を永に苛み続けていた。

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