"愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て" 第12話
絨毯のの座と酷な拒絶
パトカーがったの苦しい静寂の、志津子会はたい線を息子の頂部へと落としていた。 真理子弁護士は類を然と鞄にしまい、私の隣に静かに寄り添っている。 私は、え切った茶のカップをテーブルに戻し、ソファからゆっくりとちがった。
その気配を察したのか、に突っ伏していた徹が、うようにして私の元へと擦り寄ってきた。 「ももか……! ももか、頼む! 俺が悪かった、俺が全部違ってたんだ!」
徹は両を私のスリッパのに揃え、額を絨毯に何度も激しく叩きつけた。 ドス、ドスと、鈍い音がリビングに響く。 「俺はあいつに騙されてたんだ! あいつが嘘をついて、俺をたぶらかしたんだよ! 俺のには、本当はずっとももかしかいなかったんだ! 、緒に会社を支えてくれたおの切さを、今になって痛いほどいったんだよ!」
涙とでぐしゃぐしゃになった顔をげ、すがるように私の膝へを伸ばそうとする徹。 私はそのを、を引いてややかに避けた。 「をげてください、徹さん。見苦しいです」
「ももか! 婚なんて言わないでくれ! から俺、を入れ替えて働くから! おが営業部で、俺が社で、またで力をわせて会社をきくしていこう! 母さんだって、それを望んでるはずだ!」
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「いい加減におし!」 志津子会の声が、徹の甘えた言葉を刀両断にした。 「何を寝言を言っているんだい! あんたはもう社でも何でもないんだよ! ももかさんに甘え、ももかさんの功績を自分の実力だと勘違いし、果ては若い棒猫に尻尾を振って妻を『良品』呼ばわりした男が、どの面をげて復縁を乞うているんだ!」
「母さんまで、そんな……! 俺は母さんのたったの息子だぞ!?」 徹が叫ぶと、志津子は吐き捨てるように首を振った。 「血が繋がっているからこそ、その醜悪さに虫唾がるのさ。けない……こんな男に育ててしまった私の責任でもあるがね」
私は徹のにしゃがみ込み、その目を真っ直ぐに見据えた。 私の瞳に宿っていたのは、りでもみでもなく、ただ純粋な無関だった。 「徹さん。あなたがあの、私に言った言葉を忘れたの?『過ぎたら派なおばさんだ』『継ぎも産めない点で嫁として失格だ』『おけで籍を置いてやってるんだから謝しろ』……あれは、美咲さんに言わされた言葉かしら?」
「そ、それは……が滑っただけで……!」 「いいえ。あれは、あなたの本音よ。あなたが、私の胸にしずつ突き刺してきた毒針の、番太い本だったの。……お湯のたさも、言葉の刃も、度刺さったら度と消えないのよ」
私はちがり、真理子弁護士から受け取った婚協議を、徹の目のに落とした。
「慰謝料の額、財産分与の放棄、そして私の役員報酬の清算条項。すべて適正に記載してあります。サインしてください」
「嫌だ……サインなんてしない! 俺は婚しないぞ!!」 叫ぶ徹の背で、志津子会が淡々と告げた。 「サインしないなら、横領の共犯、あるいは善管注義務違反の背任為として、会社からあんた個を民事提訴するまでだよ。息子の破産を見届ける覚悟は、とうにできている」 逃げを完全に塞がれた徹の喉から、絶望の掠れた鳴が漏れしていた。