"愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て" 第10話
暴かれた偽妊娠と、警察の音
「え……?」 徹の喉から、空気の抜けたような音が漏れた。
「に……妊娠して、ない……?」 徹は信じられないものを見るように、美咲の平らなお腹を見つめた。
志津子はややかに言い放った。 「カルテの記録によれば、あんたがその病院に通っていた理由はただつ。規則な夜遊びと乱れた活習慣による、度の理順の治療だよ。妊娠検査の反応など、最初から微もていない。……違うかい、美咲?」
「ひっ……!」 美咲は全の血の気が引き、そのに崩れ落ちた。 妊娠すら、すべて真っ赤な嘘。 横領がバレそうになった焦りと、社夫の座を奪い取って贅沢な暮らしをに入れるために、徹の「継ぎが欲しい」という執着を逆に取った、悪質な狂言だったのだ。
「ば……ババア!! 個報を勝に調べやがってぇぇぇっ!!」 美咲は狂ったように叫び、爪をてて志津子に掴みかかろうとした。
ガシッ!
その腕を、志津子の背から音もなく現れた女性が、のきでねじりげた。 「暴れるのはそこまでになさい、美咲さん」 スーツ姿の女性――武田業の顧問弁護士であり、私の親友である松永真理子だった。
「つ、痛いっ! しなさいよ!」 「業務横領罪、ならびに私文偽造・同使罪。被害額は千百万円を超えています。すでに所轄の警察署へ告訴状を受理していただきました」
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真理子の宣告に、徹が青ざめてちがった。 「け、警察!? おい真理子、待ってくれよ! 社内の問題だろ! 内々で処理すれば――」
「徹」 志津子の徹なが、息子の言葉を遮った。 「あんたは本付で、代表取締役社を解任だよ」
「は……? か、解任……!? 嘘だろ母さん!? たかが浮気くらいで!」
「たかが浮気?」志津子の目に、底れぬりの炎が燃え盛った。 「会社のを千百万も横領した犯罪者とを通じて、会社を支えてきた妻を蹴にし、元も調べずに『継ぎができた』と浮かれ散らかす無能な男に、社の子を座らせておけるわけがないだろう! 役員会はすでに招集済みだ。あんたの解任決議は、全会致で決されたよ!」
「そんな……! 俺が社をクビになったら、どうやってきていけばいいんだよ!!」 徹が泣き叫び、志津子の元に擦り寄ろうとする。 その無様な姿に、美咲はめきった目を向け、吐き捨てるように言った。
「……はあ? 何よあんた、社クビになるわけ!? 使えない男! 歳もの脂ぎったハゲ親父の相なんて、社夫になれるからしてやってたのに! 平社員のあんたなんかに、ミリも価値なんかないわよ!!」
「お、お……! 俺をしてるって言ったのは嘘だったのか!?」 「当たりでしょ、この馬鹿! あんたのと肩き以に、どこに惚れる素があるのよ!」
醜悪な罵りいを始める、かつての同士。
そのだった。 ピンポーン――と、がのインターホンが、静かに鳴り響いた。
リビングの壁に設置されたモニター画面には、制を着た名の警察官の姿が映しされていた。
真理子が静かにインターホンの通話ボタンを押す。 「お待たせいたしました。被疑者は、リビングにおります」
完全なる因果応報の鉄槌が、今まさに振りろされようとしていた。