"同窓会でビールを浴びた私に、51人の男が最敬礼" 第11話
剥ぎ取られた代紋
蔵のな声が、事務所の井から宣告のようにり注いだ。
「熊切」
「ハ、ハイッ!!」
「丸熊商事は本をもって解散しろ。こので持っている縄張り、興権、融の利権はすべて本に返だ。事務所の板も今にろせ」
広文の喉がヒュッと鳴った。利権の剥奪。それは、ヤクザとしてきていくための資源とを、完全に奪われることをしていた。
しかし、蔵の言葉はそれだけでは終わらなかった。
「組員はすべて解散させろ。おが本へ来い。部みとして、便所掃除と雑巾がけからからやり直せ。……はあるか」
「め、滅相もございませんッ!!」
広文はに額を激しく叩きつけた。
「破や絶縁、命を取られることもなく、部みとして拾っていただけるだけで、に余る温でございますッ! 骨砕、命を賭して務めさせていただきますッ!」
極の世界において、本の姐に暴力を働き、を塗った傘団体の末は、本来であれば指を詰め、京湾の底へ沈められても文句は言えない罪である。板をろされ、部みの雑用係に格されるだけで済んだのは、ならぬ瑞の慈によるものだった。
だが、その処分を聞いた勢子が、狂ったように広文のスーツの裾にしがみついた。
「な……何言ってんのよ、あんたッ! 板をろすですって!? 組員を解散させる!? 冗談じゃないわよ! じゃあ私のはどうなるのよ! 組夫としての私の活は、どうなっちゃうのよォッ!」
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勢子は広文の肩を激しく揺さぶり、喚き散らした。
「あんた、組でしょ!? このの顔役でしょ!? 何とか言いなさいよ! こんなじいさんにペコペコげてんじゃないわよッ!」
バチィィィィンッッ!!
本度目の、凄まじい平打ちが勢子の顔面に炸裂した。
勢子の体が吹きび、壁の黒板に背から激突する。チョークのがい散り、のスーツがく汚れた。
「黙れ、この性悪女がッッ!!」
ちがった広文の目は、りと殺に血っていた。
「全部てめえのせいだろうがッ! てめえがの程を弁えず、本の姐さんにをしたから、俺のも組も全部吹っんだんだよッ! 組夫だあ!? 笑わせるな!」
広文は胸ポケットからボールペンを抜き取ると、事務机のの婚届の用に乱暴に自らの名を殴りきし、朱肉をつけて親指の指紋を叩きつけるように押し付けた。
そして、そのを勢子の顔面へ投げつけた。
「今限りで、てめえとは赤のだッ! 婚届に判を押して、今すぐ俺のからてけッ!」
「う……嘘……嘘よ、あんた……!」
勢子はに落ちた婚届を拾いげ、震えるで見つめた。
「あんたが巻きげた遅れ賃の返済、それにてめえが贅沢昧で買い漁った貴属やドレスの借は、全部てめえ個名義で借りたもんだ! てめえのケツは、てめえで拭きやがれッ!」
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広文は勢子に背を向けると、蔵と瑞に向かって再び直角にをげた。
「総裁、姐さん。……変なご迷惑をおかけいたしました。直ちに板をろす続きに入ります」
勢子は茫然自失のまま、首元のの平ネックレスを指先で握りしめた。
「私は……組の妻よ……? こので番偉い……組の妻なのよぉぉッ!」
だが、その絶叫に振り返る者は、もはやこの部に誰としていなかった。
同級たちも、若い衆も、夫である広文すらも、彼女をただの汚いゴミを見るような目で素通りし、事務所をていく。
かつて者を恐怖で支配していた女の周囲から、暴力の傘も、の力も、追従する取り巻きも、すべてが潮が引くように消えっていた。
空っぽになった事務所のたいので、勢子はただ、自らの愚が招いた果てしないの底へと転落していった。