"同窓会でビールを浴びた私に、51人の男が最敬礼" 第7話
擦り切れた帳の告発
方都の駅。錆びついた板がち並ぶ雑居ビルの階に、熊切組のフロント企業である「丸熊商事」の事務所があった。
ギィィとい鉄扉を押しけると、ヤニで黄ばんだ壁に囲まれた暗い事務所のに、煙の煙がち込めていた。
奥の事務机には、のスーツを着た勢子が腕を組み、ふんぞり返って座っている。その元のたいには、美代が古い黒い革バッグを胸に抱きしめ、さく丸まって震えていた。応接用のソファには、昨夜の同窓会にいた鏡の男をはじめとする同級が、青ざめた顔でを縮めている。
瑞がを踏み入れた瞬、背でドスンとい音がして鉄扉が閉ざされた。熊切組の若い衆が、退を塞ぐように腕を組んでっている。
「本当にで来たのね」
勢子は机のからちがり、嘲笑を浮かべた。
「うちのは朝から本へ謝罪にかされて留守よ。だから今は、ここを私の好きにさせてもらうわ」
瑞は美代のに歩み寄り、静かに声をかけた。
「美代ちゃん、丈夫?」
「み、瑞ちゃん……ごめんなさい、私のせいで……!」
「さあ、茶番はおしまいよ!」勢子が机をバンと叩いた。「ねえ、あんまたち! 利息の遅れ賃、毎誰に払ってたんだっけ!?」
ソファの鏡の男がビクッと肩をねさせ、を見つめながら声を絞りした。
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「き、美代さんに……渡してました……」
勢子は勝ち誇ったように笑った。
「聞いた!? 私は美代から円も受け取ってないの! 集係の美代が、集めたを全部ネコババしてたのよ! 派な業務横領よ!」
瑞は鏡の男のへ静かに歩みると、その目をまっすぐに見据えた。
「その遅れ賃を払えと、誰に言われたのですか?」
男の息が止まった。同級の線が、揃って勢子の方へと泳ぐ。
「余計なこと聞いてんじゃないわよ!」勢子がヒステリックに鳴り、瑞のに詰め寄った。「あんた、本の姐さんなんでしょ!? だったら本に命令して、うちのを破にしないって約束させなさいよ! 破になったら、私は組の妻じゃなくなるの! 約束しないなら、美代を今すぐ警察に突きしてやるわ!」
勢子は受話器をひったくり、ダイヤルの『1』に爪をかけた。
「美代をたせなさい! 自分ので横領を状させるのよ!」
若い衆のが美代の腕を乱暴に引っ張りげようとした。
そのだった。
「してッッ!!」
美代が切り声をげ、力任せに男のを振り払った。
その瞳には、昨夜ビールを浴びても歩も引かなかった瑞の姿が焼き付いていた。
「私、横領なんてしてないッ!!」
美代は胸のバッグの留めを力くすと、から角の擦り切れたさな黒い帳を引きずりした。
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「全部……全部、勢子さんに言われた通りに集めて、そのまま勢子さんに渡ししてたのよ! ここに全部、付と額がいてあるッ!」
勢子の顔が、瞬で気に変わった。
「な……あんた、まだそんなもの持ってたの!? よこしなさいッ!」
勢子が帳を奪い取ろうとびかかったが、戸にっていた若い衆がに入り、勢子の腕をガシッと力任せに制止した。
「な、何すんのよ! しなさいよ!」
瑞は美代のから、その黒い帳を静かに受け取った。ページをめくると、美代の几帳面な文字で克な記録が残されていた。
『 渡辺くんより遅れ賃万円回収。全額、勢子さんへ現渡し』 『 佐藤くんより万円回収。全額、勢子さんの自宅にて渡し』
瑞はそのを、静かに読みげた。
ソファの鏡の男がハッと顔をげ、恐る恐るをいた。
「お、俺も……先、勢子さんに直接『く利息を寄越せ』って脅されて、渡ししました……」
「私もです……」「僕も……」
同級たちが次々とをき、勢子を指差した。
勢子の額から脂汗が滝のように流れ落ちる。
「ち、違うわよ! それは私が組のために集めてやったよ!」
「組を呼んでください」
瑞がたく言い放つと、若い衆のが即座に受話器を取り、ホテルへとダイヤルした。
「組! 至急事務所へ戻ってください! 姐さんが……変なものをお持ちです!」