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"「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない" 第14話

最に気づいたの価値

富が玄関でち止まった。

リビングの太い檜の柱を見げる。

父が何度も鉋をかけ、自分ので仕げた柱だった。

「ここ……」

富がさく言った。

「こんなにの匂いがしたのね」

私は黙っていた。

「かいだったのね」

それは、富がこのを褒めた最初の言葉だった。

父の箱を「貧乏臭い」と笑い、を「古臭い」と言い続けたが、失うになって初めて価値に気づいたらしい。

「父が建てたですから」

私はそれだけ答えた。

「私にとっては、ずっと世界で番切なでした」

富は何か言いたそうにした。

けれど言葉はなかった。

浩司と、玄関からへる。

庭の砂利を踏む音がしずつざかる。

所のたちは、わざわざ集まって見物するようなことはしなかった。

ただ、の向こうで何かが静かにこちらを見ていた。

富が恐れていた「世の目」だった。

しかし私は、彼女が恥をかくことを目にしたわけではない。

ただ自分たちがしたことの結果を、自分たちで引き受けてもらうだけだった。

の姿が角を曲がって見えなくなる。

私は玄関を閉めた。

鍵がかかる音が、のに響いた。

「終わりましたね」

ろから林先が言った。

私はくをげた。

「本当にありがとうございました」

「これから銭関係などの理は残ります。

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でも、今番きかったのは、美穂さん自が『ここから先は入れない』と境界を決められたことですよ」

先を見送り、私はでリビングへ戻った。

驚くほど静かだった。

テレビの音量もない。

富のため息もない。

浩司の「は?」という声もない。

私はの記録が詰まった黒いノートをに取った。

最初はゴミ箱へ捨てようとした。

けれど途でい直した。

まだ林先へ渡す必がある資料が残っている。

今すぐで処分する必はない。

私はノートを封筒へ入れ、仕事部の棚へしまった。

いつか本当にすべての続きが終わったら、そのに処分すればいい。

次にスーツケースをける。

番底から桜の箱を取りした。

両で抱え、のへ戻す。

蓋をけると、使い込まれた鉋や鑿、の懐計が並んでいる。

計の針は、父がくなった頃から止まったままだ。

私はそのたい属へ触れた。

「お父さん」

声が震えた。

「ちゃんと守ったよ」

その瞬。

、どれだけひどい言葉を言われてもなかった涙が、粒だけ頬を伝った。

続けて粒。

粒。

私はののに座り込み、しばらく泣いた。

悔しさだけではない。

寂しさだけでもない。

もうしなくていい。

その事実を、体がようやく理解したような涙だった。

夕方。

私はの窓をけた。

のが部を通り抜ける。

富のい。

浩司の煙。

いこのに染みついていた匂いが、しずつへ流れていく。

代わりに、懐かしい檜のりが戻ってきた。

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