"「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない" 第11話
からの話
い沈黙の、テーブルのに置かれた浩司のスマホが震えた。
ホテルのWi-Fiを使った通話アプリらしい。
画面には「裕子」と表示されていた。
私はその名を見て、由美の画に映っていた女をいした。
「れば?」
浩司はかなかった。
「ホテルに置いてきたでしょう」
「今はいい」
「どうして? 事ななんじゃないの?」
浩司は私を睨んだが、スマホは何度も震え続けた。
最には観し、通話ボタンを押した。
「もしもし……」
次の瞬、若い女の鳴り声が聞こえた。
「ちょっと、どういうこと! カード全然使えないじゃない!」
浩司が慌てる。
「裕子、今ちょっと――」
「フロントで私が払わされたんだけど! すぐ300万円振り込むって言ったよね?」
富の肩が揺れた。
裕子の声は止まらない。
「あの奥さん追いして、を売るって言ったじゃない!」
富が浩司を見た。
「を……売る?」
「母さん、違う」
「あの古いなんか売って、私としいマンションにむって言ったでしょ!」
私は浩司の顔を見た。
今度は、富の顔がみるみる青ざめていく。
彼女は私を追いせば、息子としい嫁とで暮らせるとっていたのだろう。
だが裕子が望んでいた未来に、富の居所はなかった。
私はスマホのくへ顔を寄せた。
「裕子さんですね」
話の向こうが静かになった。
「誰?」
「浩司の元妻、森田美穂です」
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「元……妻?」
「昨、婚届が受理されました」
い沈黙。
「浩司さん、あなたには起業だと話していました?」
「え……?」
「から無職です」
浩司がちがった。
「美穂、やめろ!」
私は構わず続けた。
「あなたに買ったブランド品も、ホテル代も、ほとんど私名義のカードやのおからています」
「嘘でしょ」
「それから、あなたが緒にむ予定だと言っていたこのは、浩司のものではありません。私が父から相続したです」
話の向こうから、荒い呼吸だけが聞こえた。
私は富を見た。
「裕子さん。つだけ聞いていいですか」
「何よ」
「浩司は、お母さんについて何と言っていました?」
「美穂!」
夫の顔が真っ赤になった。
だが遅かった。
裕子はりに任せて話し始めた。
「を売ったら施設に入れるって言ってたわよ」
富の唇が震えた。
「……何?」
「うるさいから邪魔だって。いところで分だって浩司が言ったのよ」
富がゆっくり息子へ顔を向けた。
「浩司」
声がかすれている。
「あんた……私を施設に入れるつもりだったの?」
「違う! 裕子に話をわせただけだ!」
「私、あんたのために美穂さんを追いそうとしたのよ」
「母さん、落ち着けって」
「私のおまで使わせた!」
富が浩司の胸を叩いた。
「それなのに最は私まで捨てるつもりだったの?」
数分まで同じ側にっていた親子が、互いを責め始めた。
裕子は話の向こうでたく言った。
「もういい。ももない無職のなんて、私には関係ないから」
浩司の顔が引きつる。
「裕子、待て」
「度と連絡しないで」
通話は切れた。
浩司が番格好をつけたかった相から、がなくなった瞬に捨てられた。
私はその姿を見ても、何のびもじなかった。
ただ、この自分が何に縛られていたのかを、ようやく静に見られた。