"「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない" 第10話
「俺はまだおの夫だぞ」
「こんなの、ただのメモだろ」
浩司はがった。
「何の証拠にもならない」
「そうね。この枚だけならね」
私はスマホを取りした。
「でも300万円を求したメッセージは残ってる」
浩司の眉がいた。
「私の取引先へ嘘を流すっていた文章も、あなたが送ってきた写真も。お義母さんが話で『300万円払えば噂を訂正する』って言った録音も全部保してある」
富が私を見た。
「録音……?」
「はい」
私は画面を見せなかった。
見せる必もなかった。
「林先にも送ってあります」
弁護士の名をした瞬、浩司の姿勢が変わった。
「お、弁護士まで入れたのか」
「何かおかしい?」
「夫婦の話だろ!」
「夫婦だからって、何をしてもいいわけじゃないでしょう」
「俺のカードを勝に止めたり、携帯まで使えなくしたり――」
「私名義の追加カードはもう必ないから止めたの」
私はそこで度言葉を切った。
浩司はりで顔を赤くしていた。
「勝なことするな! 俺はまだおの夫だぞ!」
その言葉を聞いた瞬。
から胸の奥に積みなっていたものが、すっと消えた。
私はバッグへを入れた。
ホテルで何度も指先で触れた、い。
役所の公印が入った婚届受理証。
それを取りし、テーブルへ置いた。
「違うわよ」
浩司が眉をひそめる。
「何が」
「あなたはもう、私の夫じゃない」
広告
「……は?」
私は証を彼のへ滑らせた。
「昨、もう婚したから」
浩司はかなかった。
富もをけたまま、私とを交互に見る。
数秒。
浩司が震えるで証を持ちげた。
からまで何度も読む。
「婚届……受理証?」
声が裏返っていた。
「何だよこれ。俺はしてないぞ」
「私がしたの」
「いつ?」
「昨の朝」
「そんな……」
浩司はを握りしめた。
「ふざけるな! 俺は婚するなんて今は言ってない!」
「、あなた自が署名した婚届を私に渡したでしょう」
「そんなの冗談だ!」
「私には冗談じゃなかった」
私は目をそらさなかった。
「、保管してた。あなたが本当にち直ったら捨てるつもりだった。でもあなたは働かず、私のおで別の女と遊んで、父のまで奪おうとした」
浩司の唇が震えた。
「受理されたからって全部終わりじゃない。争うなら、専を通して話して」
私は林先から言われた通り、断定なことは言わなかった。
「でも私は、もうあなたと夫婦を続けるはない」
富が突然叫んだ。
「じゃ、じゃあこのはどうなるのよ! 婚したって浩司には半分くらい権利があるんでしょう?」
私は登記事項証のコピーをした。
「ありません」
「どうしてよ!」
「父から私が相続したとだからです」
富の顔から表が消えた。
「所者は最初から私です」
「でも浩司はここにんで――」
「んでいただけです」
私は静かに答えた。
「あなたたちが勝に『自分たちの』だとっていただけ」
浩司は証を持ったまま子へ座り込んだ。
たった数分まで、300万円を持ってこいと笑っていた男だった。
その顔から、完全に余裕が消えていた。